ビジネスメールを送る(8)~ アドレス帳に登録する ~
それでは、これまでさんざん引っ張ってきて後回しにしていた「アドレス帳」について詳しく学習していきましょう。
アドレス帳の機能というのは、一般的に携帯電話のメモリ機能と同じで、複数の個人のメールアドレスや電話番号などの情報を登録しておき、ワンタッチで呼び出す機能になります。
メールアドレスを直接打ち込む必要はなく、登録しておいた個人名を選択するだけなので非常にラクですし、複数の相手に送る場合には、名前を選択していくだけで何人でも簡単に追加することができます。
また、便利さ以外にアドレス帳を使うことの最大のメリットは、
アドレスの入力間違いを防ぐことができる
ことです。
正しいアドレスを登録しておけば、それ以降アドレスを間違うことはありません。メールアドレスは長い英数字から成るため、メールの受信とエラーメール で学習のように、思ったよりも多くのミスが発生します。
そのため、一度きりのメール相手でない限り、アドレス帳に登録しておいて、そこから呼び出してメールを送るほうが間違いがありません。特にビジネスにおいては、メールが届かないなどのトラブルは避けなければなりません。
では、アドレス帳に登録してみましょう。
と言いたいところですが、当初「一般的に」と前置きしたのは、まずOutlookにおける「アドレス帳」という機能の概念について知っておく必要があるからです。
というのも、Outlookでは「アドレス帳」というメールアドレスを登録しておく機能と、
連絡先
という別の機能があるのです。
この「連絡先」という機能は、アドレス帳とは別に個人の詳細情報を登録しておく機能になります。
つまり、「アドレス帳」はメールアドレスのみを呼び出す機能で、「連絡先」はメールアドレス以外の詳細情報を登録しておける機能になります。
この違いの意味は、アドレス帳にはメールアドレスがなければ登録できませんが、連絡先には名前だけでも登録できるという違いがあります。
簡単に言うと、
アドレス帳は連絡先の機能の一部
であり、連絡先に登録したメールアドレスを自動的にアドレス帳に登録します。両者は連携しているのです。
そもそも、Outlookはメーラーとしての機能だけではなく、スケジュール管理やタスク管理などを行う幅広く活用できるアプリケーションです。
そのために機能が分けられているのだと思われますが、連絡先には個人の勤務先や電話番号等まで登録して管理することができ、アドレス帳は連絡先からメールアドレスのみを抽出して登録します。
なかなかややこしいところですが、Outlookではアドレス帳とひとくくりに言うことはできず、連絡先という機能と分けて考える必要があること知っておきましょう。
したがって、「アドレス帳」にメールアドレスを直接登録することはできません。まず「連絡先」にメールアドレスを登録していくことになります。
連絡先に登録するには、画面左下の「連絡先」のアイコンをクリックします。
また、表示の設定を変更している場合は、縦にアイコンが並んでいる場合もあります。
この表示は、好みに合わせて変更することができます。「表示」タブの「フォルダーウィンドウ」ボタンより「最小化」を選択すると、アイコン表示を最小化することができます。
そして、アイコンをクリックすると画面が「連絡先」に切り替わります。
メールの画面に戻るには、「メール」ボタンをクリックすると切り替わります。
では、実際に登録してみましょう。
新規登録するには、連絡先画面の「ホーム」タブの「新しい連絡先」ボタンをクリックします。
すると、「連絡先」画面が立ち上がります。
かなりたくさんの入力項目があり、多くの情報を管理できるようになっています。
すべて入力する必要はありませんが、「姓」、「名」、「メールアドレス」は入れておく必要があります。
まず、名前を入力してみましょう。
「姓」、「名」それぞれ入力すると、フリガナが自動で入ります。
修正する場合は「フリガナ」ボタンから修正します。フリガナは連絡先の一覧の並び順に影響するので、正しいフリガナを入力するようにしましょう。
また、「表題」の欄にも自動的に名前が入ります。
この「表題」というのはこれまたつかみにくいのですが、Outlook内部で用いられる名前で、並び順などに影響するところです。深く意識する必要はありません。(並び順の変更は「表示」タブの「ビューの設定」ボタンより行うことができます)
ここも直接入力で自由に変更することもできますし、リストメニュー形式になっていて、「勤務先」を入力すると、それも含めた様式を選択できるようになります。
姓と名の間にスペースを入れる様式、勤務先をカッコで付ける様式などを選択することができます。全体的に様式を合わせておくとわかりやすくなります。
これだけの情報で連絡先に登録することができます。
一度保存して登録してみましょう。登録するには、「保存して閉じる」ボタンをクリックします。
すると、連絡先に「虹村億泰」が登録されます。
この登録名が「表題」の名称と思われがちですが、ここは表題が表示されているわけではありません。
例えば「虹村億泰(靴のムカデ屋)」と表題を変更しても登録名は変わりません。
登録名は「姓」と「名」で決まります。後述しますが、他の登録名に「様」などの敬称が付いているのは氏名に「様」を付けて登録しているためです。ここではわかりやすくするために敬称を省略しています。
そして、この状態で「アドレス帳」を確認してみます。
アドレス帳は、連絡先からメールアドレスを自動で抽出して登録してくれる機能です。
アドレス帳を開くには、「ホーム」タブの「アドレス帳」をクリックします。メール画面からでも、「ホーム」タブの「アドレス帳」を選択することができます。
すると、「アドレス帳」が開きます。
連絡先と比べるとかなりシンプルですが、メーラーで使用するアドレス帳は、「名前」と「メールアドレス」だけ管理できていれば他の情報は必要ありません。
ただ、ここに登録した「虹村億泰」の名前がありません。
それは、メールアドレスを登録していないためです。メールアドレスを追加しましょう。
連絡先の名前をダブルクリックするか、右クリックメニューから「連絡先の編集」を選択します。すると、編集画面が表示されます。
登録時の「連絡先」画面と異なっています。この画面は、登録時の詳細画面から主要な登録項目を抽出した簡易版になります。
「電子メール」の「+」ボタンをクリックして、メールアドレスを打ち込むことができます。
メールアドレスを入力して「保存」ボタンをクリックすると、メールアドレスが連絡先に追加登録されます。
連絡先の画面を呼び出したい場合は、プレビュー画面(閲覧ウィンドウ)の「ソースの表示」から「Outlook(連絡先(アカウント名))」をクリックします。
すると、「連絡先」画面が表示されます。メールアドレスが登録されていることを確認してください。
メールアドレスが入力されると、「表示名」に「氏名(メールアドレス)」の様式で連動して入ります。
この「表示名」はかなり大切な項目になります。詳しくは後述しますが、
表示名に登録した名称がメールの送信相手に表示される
ので、注意しなければならないところになります。
もう一度「アドレス帳」を確認してみましょう。「虹村億泰」の名前が表示されています。
このように、連絡先にメールアドレスを登録した時点で、アドレス帳に登録されることになります。
では逆に、連絡先のメールアドレス欄で、「メール」ボタンをクリックして、すでにアドレス帳に登録されているメールを選択してみます。
すると、下図のようにエラーが表示されます。
このとおり、アドレス帳は連絡先から連動しているので、アドレス帳から連絡先に登録することはできません。あくまで連絡先の一部であることが確認できます。
連絡先にはさらに、勤務先の部署や電話番号、住所なども入力して管理できますが、本項ではここまでの入力にとどめます。メーラーとしてOutlookを利用する上では、基本的にこの程度の情報入力でかまいません。
さて、これで登録が完了し、「虹村億泰」のメールアドレスがアドレス帳から選択できるようになりました。
実際にメールを送ってみましょう。
メールを送るには、「虹村億泰」を選択した状態で、プレビュー画面のメールアイコンをクリックします。
すると、宛先(TO)に「虹村億泰」が指定されたメールの新規作成画面が立ち上がります。
しかし、通常はアドレス帳の画面からではなく、メール画面からアドレス帳を呼び出して送信しますので、メール画面に切り替えて送ってみましょう。
メールの新規作成画面から「宛先」ボタンをクリックすると、アドレス帳を呼び出すことができます。
送信相手を選択してダブルクリックするか、「宛先」ボタンをクリックすると、「宛先」のテキストボックスに選択した相手が書き込まれます。
また、これからおわかりのとおり、CCやBCCにも合せて入れ込むことができます。CCの場合は選択して「CC」ボタン、BCCの場合は選択して「BCC」ボタンをクリックすると、選択した相手が書き込まれます。
そして「OK」ボタンをクリックすると、アドレスが指定された状態のメッセージの作成画面に戻ります。
件名と本文を適当に入力して送信してみます。
すると、送信した先のメール(送信先の受信メール)では、下図のように見えます。
ここでは、「吉良吉影」から「虹村億泰」に送っていますので、送信者が「吉良吉影」で宛先には「虹村億泰」が表示されています。つまり、「虹村億泰」が受信したメールの見え方です。
じつはここが本項のもっとも重要なポイントになるのですが、ある重要なことに気づかれたでしょうか。
それは、先述のとおり、
連絡先の「表示名」に登録した名称がそのまま相手側で表示される
ということです。
ややこしいですが、氏名のみで、カッコとメールアドレスは表示されません。
そして、それの何が問題なのかというと、このままでは相手側に「敬称」がつかないということです。
つまり、このメールで「虹村億泰」は、相手から「虹村億泰」と呼び捨てにされたメールを受信することになっているわけです。
これは当然、気持ちのいいものではありません。通常の手紙であれば考えられないことです。ビジネスであれば「役職」や、せめて「様」くらいつけてほしいと思います。
また、呼び捨てになるのはまだいいとして、例えば「虹村億泰(要注意人物)」などと独自のコメントを付加していた場合には目も当てられません。
では、表示名を「女々しい男」として送信してみると、受け手側でも同じ表示になります。
この場合はカッコも表示されます。
登録名称がそのまま相手側で表示されるので、下手をすると取り返しのつかないことになります。この「表示名」の仕組みは必ず理解しておきましょう。
では、具体的に敬称を付けるにはどうすればいいのかというと、「役職」欄に入力しておけば表示されるというわけではありません。
敬称はどこに入力しても自動的付加はされません。
「名」に入力した名前のうしろに付け加えるか、表示名に手打ちで付け加える
しかないのです。
つまり、「億泰 様」のように名前のうしろに敬称を付け加えて登録します。
フリガナは必要に応じて編集しましょう。
このように表示されていれば相手が印象を悪くすることはまずありません。
これもビジネスメールのマナーのひとつであり、「姓」や「名」の欄に入力するときには、漢字間違えなどにも十分注意し、「敬称」も付けて登録するようにしておくと良いでしょう。
さらにこれに関連して、メールを返信する でも少し触れましたが、メールを返信するときにアドレス帳から宛先を選びなおすことで、敬称を付けて返信することができます。
返信の場合は、相手のアカウントの登録名(詳しくは、テストメールを送ってみる を参照してください)で、そのまま返信されていきます。自分のアカウントの登録名に敬称をつける人はいないので、この場合も呼び捨てのような感じになってしまいます。
通常、返信まで配慮する必要はありませんが、相手が重要なお得意様や目上の方である場合は、アドレス帳から選びなおすことで配慮を印象づけることができます。
このように、敬称を「役職」欄にに入力してもあまり意味がありません。両方入力するというのも管理上ややこしくなるだけです。
また、メールの利活用においては、「連絡先」ではなく「アドレス帳」から選択することになるので、「姓」と「名」と「メールアドレス」と「表示名」の入力情報のみが使われることになります。
他の情報は直接メールのやり取りに必要のない情報です。「会社名」にしても、そこに入力してあるからといってメール機能としてなにかできるわけではありません。
また、仲のよい友達ならともかく、ビジネス上の関係で、メニューにあるすべての項目を埋めるほどの情報はまず入手できませんし、入れれば入れるほど管理が大変になります。
もちろん、本格的な個人台帳として活用するのもいいですが、作り込みすぎると、登録者のささいな情報に変更があった場合にもその都度書き換えていかなければならず、その作業を放っておくとわけがわからなくなってきます。
では次に、複数のメールアドレスを持つ個人を登録する場合です。
複数のメールアドレスとは、例えば会社のメールアドレスと個人のメールアドレスを持っている場合などです。連絡先には複数のメールアドレスを登録することができます。
複数のメールアドレスを登録するには、「メール」ボタンから「メール2」を選択します。
そして、それぞれ下図のように登録したとします。異なるのはメールアドレスだけです。
このまま登録し、アドレス帳を見てみましょう。
このように、一人に対して複数のメールアドレスを登録した場合は、アドレス帳には別々の行になって表示されるようになります。
そのため、この場合は少し工夫が必要です。
メールアドレスの選択間違いの可能性がある
からです。
メールアドレスが表示されるので間違うことはないかもしれませんが、アドレス帳が多くなってくると、メールアドレスで判別するのはミスが起こりやすいものです。仕事上のメールを個人用のアドレスに送ってしまうと、勤務時間中は見てくれないかもしれません。
そこでよくやりがちなミスが、
表示名に不適切な文字を付加してしまう
ことです。
表示名は相手に届く名称です。ここに「虹村億泰(個人)」、「虹村億泰(会社)」のようにしてしまうと、相手の心証はどうでしょうか。そのくらい管理しておいてほしいと思われる可能性がないわけではありません。
かといって、メールアドレス以外でどうやって判断すれば良いのでしょうか。連絡先に複数登録できるのは「メールアドレス」と「表示名」だけになります。
つまり、
「表示名」しか編集することができない
ということになりす。
氏名はいくらメールアドレスが複数あっても1つしか登録できません。
そこで、よく使われる方法は、仕事で通常使うメールは「虹村億泰様」として、プライベートメールには「虹村億泰様(個人メール)」のように登録しておく方法です。
この場合は、プライベートメールに「個人メール」という表示名が通知されますが、あくまで個人的なメールのやり取りにおいてであり、特に問題は生じません。
または、「姓」や「名」の登録名称は相手に通知されないので、別人として新規登録する方法もあります。
このあたりは微妙なところですが、あくまで「表示名」には気をつけて登録するようにしましょう。
では、次にアドレス帳のその他の機能について紹介したいと思います。
まず、アドレス帳への登録をもっと簡単に行う方法です。
これまでの登録方法では、すべて手入力で長いメールアドレスも英数字をひとつひとつ入力しなければなりませんでしたが、それではやはり間違う可能性があります。(もちろんコピペは可能です)
もっと簡単に、しかもアドレスを間違えずに登録する方法があります。
それは、
届いたメールを利用してアドレス帳に登録する
という方法です。
もうおわかりだったと思いますが、携帯メールのアドレス交換で、メールを送ってもらってそこから登録した経験がある方も多いと思います。
操作方法は、これまた少しややこしいですが、該当のメールを選択した状態で、プレビュー画面の差出人(メールアドレス部分を含む)を右クリックして「Outlookの連絡先に追加」を選択します。
ここはプレビュー画面ではなく、受信トレイのメールの右クリックから選択できるようにしてほしいところですが、プレビュー画面からしかできないようです。
ただし、すでに連絡先にアドレスの登録がある場合は「連絡先の編集」という項目が表示されます。
「Outlookの連絡先に追加」を選択すると、「簡易登録」の画面が表示され、「名前」と「メールアドレス」が入力された状態になっています。
ひとまずこれで保存し、面倒ですが、詳細編集は再度、連絡先の画面を開いて編集します。
この他にも、アドレス帳には異なるソフトウェアで作成した住所録等を読み込む機能もあります。これは「インポート」という機能で、例えばExcel(エクセル)で作成した住所録を一括で取り込むことができます。
逆に、アドレス帳のデータを取り出して他のソフトウェアで利用することもできます。これは「エクスポート」という機能になります。
しかし、これらの操作は少々応用的なので、応用操作 で学習します。
さらに、アドレス帳には「グループ」を登録できる機能もあります。
グループを作成することでメーリングリストとしてグループ内の複数人にまとめてメールを送ることができますが、これについては次項で詳しく学習したいと思います。
また、以前のバージョンのOutlookやLiveメールでは、3回以上返信した宛先を自動的にアドレス帳に登録する機能などがありましたが、現行のバージョンでは廃止となっているようです。
更新履歴
- 2014年8月6日
- ページを公開。
- 2018年1月10日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2020年6月6日
- メールソフトをWindows LiveメールからOutlookに変更。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- 文献
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