OS(オーエス)とは
パソコンの便利さは、様々なアプリケーションソフトを一台で利用でき、使い分けられるところにあると前章で学習しました。逆に、ソフトウェアがなければパソコンはただの箱にすぎません。しかし、それはとても柔軟で拡張性がある箱なのです。
その箱に何をつめて何に使うのか、つまりどんなアプリケーションソフトをいれて、どんな用途に使うのかは、その箱であるパソコンの持ち主によって千差万別というわけです。
もうおわかりのように、アプリケーションソフトは世の中に星の数ほど存在しています。
WordやExcelといったメジャーどころは言うまでもありませんし、画像や音声を編集するアプリケーションソフトもあれば、ゲーム、企業の業務用ソフトなど様々です。
ただし、こうした便利で素晴しいアプリケーションソフトも、実はそれ単体では動作することはできません。無数の命令やプログラムの集合体であるアプリケーションソフトといえども、動作することのできる「環境」が必要になるのです。
これは「パソコン」という箱のことではありません。パソコンという箱の中で動作するための環境です。
例えるなら、様々な行事に使えるグラウンドという箱(パソコン)があって、そこで「野球」というソフトを利用するために、グラウンドにラインを引いて野球ができる環境にしてあげる必要があるのです。
いくらスーパースターがいたところで、野球ができる環境を与えてあげないと野球そのものを始めることができません。
その環境を提供しているのが、
OS(オーエス)
というソフトウェアになります。
これがあまりにも有名な Windows(ウィンドウズ)や、Mac OS(マック オーエス)などです。よく混同されがちですが、Windowsは「パソコン」のことではありません。OSという「ソフトウェア」の種類のことです。
では、この環境を提供するというOSとは具体的にどういうものなのでしょうか?
前章まとめの ソフトウェア分類表 のとおり、OSとはソフトウェアの一種になります。OSは「Operating System(オペレーティング システム)」の略で、
基本ソフトウェア
と呼ばれています。
その名のとおり、パソコンが動作するうえで必要不可欠な共通で基本的な機能を提供するためのソフトウェアだからです。
パソコンが動作するのに必要ということは、アプリケーションソフトが動作するのに必要と言い換えることができます。
パソコンはソフトウェア(アプリケーションソフト)がなければ「ただの箱」なのですから、
絶対になくてはならないソフトウェア
ということになります。
OSがなかったらアプリケーションソフトは動かず、本当にパソコンが「ただの箱」になってしまいます。 それほど大切なソフトウェアなので、その役割は多岐に及びます。
詳しくは次項で学習しますが、最も大きな役割は、
当り前の動作環境を提供するソフトウェア
ということができます。
この意味はとても単純明快です。
マウスでクリックしたり、キーボードで文字を入力したりする当り前の動作環境
のことだからです。
つまり、OSがなかったらアプリケーションソフトの動作以前に、文字の入力もクリックもできません。そういったパソコンを扱ううえでの必要条件を整えてくれているのです。基本ソフトウェアと呼ばれるゆえんです。
このようにOSとは本来、
裏方の仕事
をしているソフトウェアなのです。
もっとも、OSには他にも大切な役割がたくさんあり、私たちユーザーがOSを操作しなければなりませんので、ほとんどの方には実感のないことかもしれません。
さて、では実際に使われているOSにはどんなものがあるでしょうか?
世界でもっとも多く利用されているOSは、ご存じ、ビル・ゲイツ氏が開発したマイクロソフト社製 Windows(ウィンドウズ)です。パソコンOSの世界シェアは9割とも言われています。
一方、カリスマ経営者といわれたスティーブ・ジョブズ氏のアップル社製、Mac OS(マック オーエス)は、動画や音声等のマルチメディアの操作性に優れているとされ、一部のファンに根強い人気があります。また、スマートフォンのiOSは、Androidと並び高いシェアを占めています。
他には、オープンソース(開発の仕様やシステム構造を世界中の技術者に無償で公開する)のOS、Linux(リナックス)も研究機関や教育機関などで多く使われています。
さらに、パソコンやスマートフォン以外にもOSは搭載されています。家電製品、自動車、産業機械、医療機器など様々な機器に内蔵されています。
通常パソコン以外のOSは、その存在が表に出ない本来の「裏方」の仕事に徹していますが、パソコンに関してはOSが全面に出てきて、操作しなければなりません。ここが大きな違いです。
なぜなら、パソコンは家電製品のように用途が限定されておらず、様々なアプリケーションソフトを使い分ける汎用的なプラットフォームだからです。
そのため、パソコンOSもユーザーの用途によって異なった製品や、異なったエディション(仕様)を用いるのが一般的です。
Mac OSは、動画や音声等のマルチメディアの操作性に優れているとされ、クリエイターやミュージシャン、デザイナーに愛用されていますし、Windowsも数種類のエディション(「Pro」や「HOME」など)に分かれています。
このように、OSの種類は数多くあり、同じ製品のなかでも数種類のバージョンに分けられています。今後、自分の用途やスタイルにあったOSを使い分けてみるのもいいかもしれません。
ところで、かつて日本でも純日本製OS、TRON(トロン)が東京大学の坂村教授によって開発されていました。
TRONはWindowsをも凌ぐと言われ、日本のみならず世界での普及が期待されましたが、アメリカの圧力で断念し、結局マイクロソフト社のWindowsに屈したと言われています。TRONが普及していたら、Windowsの今の地位もなかったかもしれません。
しかしTRONは現在、様々な機械の組み込み型OS(あらかじめ機器に搭載したもの)として普及し、搭載機器の出荷台数ではWindowsより普及しているとさえ言われています。また、1984年当時からすべてのものにコンピュータが組み込まれる社会、ユビキタスを想定した「TRONプロジェクト」が活動しています。
つまり、日本は最先端なのです。参考までに、私の好きな「ゴルゴ13」の作品の中に、この問題を扱っている「ユビキタスの迷路」という面白い一話があるので、興味のある方は読んでみてください。
さて、いずれにせよWindowsがOSの覇権を握ったわけで、ただアメリカの国策と圧力のみによってこれほどまでに普及したわけではありません。世界シェア9割という驚異的な数字が表すとおり、それなりの理由があります。
1995年、「Windows95」が世界中で大ヒットしたのを覚えているでしょうか?あのドラクエ3並みの騒ぎだったのを覚えている方も多いことでしょう。
その理由は、これまで学習してきた知識があれば十分理解できます。
マウスによる視覚的な操作ができるようになった
というのが大きな理由です。
正確には、その機能の完成度が高かったから(以前からそのような機能はあったが十分ではなかった)ですが、専門的知識を持たない私たちにとっては衝撃的でした。
前章での解説のとおり、それまでパソコンはプログラム言語(正確にはコマンドという)を用いて操作しなければならなかったため、初心者にはとても扱える代物ではなかったのです。
しかし、Windows95の登場によって、アイコン(図柄)をクリックするだけで様々なアプリケーションソフトを利用できるようになったというわけです。
Windowsの由来は、「窓」がいくつも開いて、画面のアイコンをマウスでビジュアル的に操作できるところから名付けられています。まさに、Windowsの操作方法どおりです。
更新履歴
- 2008年7月9日
- ページを公開。
- 2009年3月10日
- ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
- 2018年1月24日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2022年1月9日
- 内容修正。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- 脱初級者への道 - OSとは
- http://homepage3.nifty.com/JULY/pc/os.html
- OSがなかったら?
- http://www.algolab.co.jp/~lum/pcnyumon/nyu061.htm
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