OS(オペレーティングシステム)とは
- 著者:YAMANJO
- 公開日:2008年7月9日
- 最終更新日:2024年10月28日
基本ソフトウェアと呼ばれるOS(オーエス)。OSがなければパソコンは動きません。それがどのようなソフトウェアで、どのような役割を担っているのか学習していきましょう。
OSとは何か
パソコンやスマートフォンは、様々なソフトウェアを利用できる代表的なプラットフォームであることを前項で学習しました。
ソフトウェアが無ければ、ただの箱になってしまうパソコンですが、とても柔軟で拡張性がある箱です。その箱に何をつめて何に使うのか、つまり、どんなアプリケーションソフトを選択して、どんな用途に使うのかは箱の持ち主によって千差万別というわけです。
アプリケーションソフトは世の中に星の数ほど存在しています。
WordやExcelといったメジャーどころは言うまでもなく、画像や音声を編集するアプリケーションソフトもあれば、ゲーム、企業の業務用ソフトなど様々です。
では、こうした無数のアプリケーションソフトを、パソコンはどうやって動かしているのでしょうか?
そんなことを考えたことがないかもしれません。パソコンにインストールするだけで動くものだと思いがちです。しかし、パソコンはただの箱です。何から何まで命令しなければ動くことができません。
無数にあるアプリケーションソフトそれぞれが、パソコン内部のメモリやCPU、ストレージといった機器(ハードウェア)と直接やり取りして自分自身を動かしているというのは、とても現実的ではありません。(ハードウェアについては、パソコンの仕組み で学習します)
そもそも、インストールという処理さえアプリケーションソフトやパソコンだけでは不可能と言えます。ここまで言えば、なんとなくおわかりでしょうか?
すなわち、パソコン自体をコントロールするソフトウェアが必要になるということです。パソコンはメモリやCPU以外にもキーボード、マウス、ディスプレイといったハードウェアの集合体でもあります。
それらをコントロールして、アプリケーションソフトが利用できるようにしたり、アプリケーションソフトがパソコン上で動作するための環境を整えるソフトウェアが必要なのです。
このようなソフトウェアを、
OS(オーエス)
と言います。
OSは「Operating System(オペレーティング システム)」の略で、基本ソフトウェアとも呼ばれます。
基本ソフトウェアの名前のとおり、パソコンが動作するうえで必要不可欠な基本的機能を提供するためのソフトウェアです。そのため、OSの役割りは多岐に及びます。
具体的な仕組みは次項で学習しますが、例えるなら、OSは様々なイベントで利用されるスタジアムの管理人です。
スタジアムという箱(パソコン)があって、野球やサッカー、コンサートなど(アプリケーションソフト)で利用したい場合、そのスタジアムの管理者(OS)に申請して使えるようにしてもらう必要があります。
いくらスーパースターのアプリケーションソフトがあったとしても、環境を与えてあげないと、そもそもプレーすることができません。
一方、管理者の仕事は多岐に及びます。イベントを円滑に進行させるために、観客や選手、スタッフの動きを調整し、施設を安全に保つための全体的な管理を行います。また、照明や音響設備などの調整も必要になります。
つまり、
パソコン全体の調整役となるのがOSである
ということです。
こうしたOSの代表格が、Windows(ウィンドウズ)です。その他には、Mac OS(マック オーエス)、Linux(リナックス)、スマートフォンではiOS、Androidなどがあります。
パソコンがただの箱と表現された当時、よくWindowsとパソコンを混同している人がいました。Windowsをパソコンの種類のことだと思っている人がたくさんいたのです。
さすがに現在では、Windowsをパソコンと混同する人はほどんどいないでしょう。しかし、基本ソフトウェアであるWindowsが無ければ、パソコンはただの箱に過ぎません。パソコン=Windowsでもあながち間違いではなかったのかもしれません。
それほど重要なソフトウェアなのです。前項で学習したミドルウェアのように、無くてもアプリケーションソフトが動作することはありません。OSの管理下でアプリケーションソフトは動作することになります。
したがって、
OSは絶対になくてはならないソフトウェア
になります。
ファームウェアとOSの違い
前項のソフトウェアの種類の表の中に、ファームウェアというソフトウェアが登場しました。(ソフトウェアの分類表)
ファームウェアは、その機器自身の制御のために動作するソフトウェアであると説明しており、パソコンを制御するOSとの違いを理解するのが難しいと思います。
ファームウェアは、特定のハードウェアの基本動作を管理します。例えば、Wi-Fiルータなどの機器に組み込まれたファームウェアは、ルータが正しく動作するように指示を出します。パソコンで言えば、キーボードやマウス、ディスプレイといった接続機器にもファームウェアが組み込まれています。
ただし、パソコンにはこうした機器がいくつも接続されており、それらをBIOS(バイオス)やUEFI(ユーイーエフアイ)と呼ばれるファームウェアが統括しています。統括と言っても、それぞれのファームウェアの正常動作をサポートするようなイメージです。あくまで制御は個々のファームウェアが行います。
パソコンに電源を入れると、OSの起動より先にBIOSやUEFIが起動して、それぞれの機器が正常に動作していることを確認します。そして、OSを起動し、OSにその情報を渡します。
つまり、ファームウェアはパソコン内のすべての機器が動作することをチェックして「どうぞ使ってください」と渡すまでの役割りを担い、OSはその環境のものとで、アプリケーションソフトが機器にアクセスする環境を整えます。
OSの種類
世界中でもっとも多く利用されているOSと言えば、ご存じ、ビル・ゲイツ氏が開発したマイクロソフト社製「Windows(ウィンドウズ)」です。
2024年現在のパソコンOSの世界シェアは約7.5割程度となっていますが、2000年代初頭から2010年頃にかけて、Windows XPやWindows7といった世代では、世界シェア9割という驚異的な普及率を誇っていました。
徐々にシェアが下がってきたとは言え、圧倒的な数字であることに変わりはありません。そのため、当サイトで学習するOSはWindowsシリーズのみです。その他のOSにまで学習の手を広げる必要は今のところありません。
英語だけ話せるようになれば、世界中で通用するようなものです。興味があればフランス語や中国語を学習しましょう。ただし、言語のようにまったく異なることもなく、共通する操作も多いので習得はそれほど困難ではありません。
では、Winsowsのシェアが下がってきた原因としてどのような理由があるのかというと、当然ながら、他のOSがシェアを伸ばしてきたことがあげられます。
カリスマ経営者と言われたスティーブ・ジョブズ氏のアップル社製「Mac OS(マック オーエス)」は、動画や音声等のマルチメディアの操作性に優れているとされ、一部のファンに根強い人気があります。
他には、オープンソース(開発の仕様やシステム構造を世界中の技術者に無償で公開する)のOS「Linux(リナックス)」も研究機関や教育機関などで多く使われています。
また現在は、グーグル社の「Chrome OS(クローム オーエス)」を搭載した安価なノートパソコン「Chromebook」が人気で、特に学校などの教育現場での導入が進んでいます。
次に大きな要因として、スマートフォンやタブレットが一般的になり、パソコンOSの需要が減少していることがあげられます。つまり、パソコンの全体的な市場が縮小していくことで、相対的にシェアが下がってきたということです。
モバイル向けのOSとしては、同じくアップル社製のiPhoneやiPadに搭載されている「iOS(アイ オーエス)」、グーグル社の「Android(アンドロイド)」があります。現在のシェアは、Androidが約7割、iOSが約3割となっています。
以上が代表的なOSになりますが、OSはこれだけではありません。もちろん有名でないOSもたくさんあります。しかし、そういう意味ではなく、パソコンやスマートフォン以外にもOSは搭載されているということです。
じつは家電製品、ゲーム機、自動車、産業機械、医療機器など様々な機器にOSが内蔵されているのです。
パソコン以外のOSは、その存在が表に出ない「裏方」の仕事に徹していますが、パソコンに関してはOSが全面に出てきて、操作しなければなりません。ここが大きな違いです。
なぜなら、パソコンは家電製品のように用途が限定されておらず、ユーザーの選択によって様々なアプリケーションソフトを使い分ける汎用的なプラットフォームだからです。
そのため、パソコンOSも用途によって異なった製品や、異なったエディション(使える機能や価格が異なるパッケージ)を用いるのが一般的です。
例えば、Mac OSは動画や音声等のマルチメディアの操作性に優れているとされ、クリエイターやミュージシャン、デザイナーに愛用されています。Windowsも数種類のエディション(「Pro」や「HOME」など)に分かれています。
また、OS自体の進化や改良を表すために、数年間隔で大きなアップデートが行われるのが通常です。Windowsであれば「Windows10」や「Windows11」になります。
さらに小さな改良として「バージョン番号」も存在しており、同じWindows11でもバージョン「22H2」や「23H2」などのように年単位の内部アップデートを示しています。
このように、OSには多くの種類があり、同じ製品でも数種類のエディションやバージョンに分かれている場合があります。
なぜ、Windowsが爆発的に普及したのか
かつて純日本製のOS、TRON(トロン)が東京大学の坂村教授によって開発されていたことをご存じでしょうか?
しかも、TRONはWindowsをも凌ぐと言われ、日本のみならず世界での普及が期待されていました。
1990年代、すでにTRONは日本国内の様々な分野で利用されていました。産業機器や家電製品、自動車などです。しかし、一般のパソコン向けOSとしては広く普及しませんでした。
その理由は、TRONによって日本の技術的優位が強まることを恐れたアメリカの圧力があったとされていますが、マーケティングや販売戦略など、技術面以外の要因が大きかったとされています。
もしTRONが普及していたら、Windowsの今の地位もなかったかもしれません。TRONは現在、様々な機械の組み込み型OS(あらかじめ機器に搭載したもの)として普及し、日本の搭載機器の出荷台数ではWindowsより普及しているとさえ言われています。
つまり、日本は最先端を走っていたのです。参考までに、私の好きな「ゴルゴ13」の作品の中に、この問題を扱っている「ユビキタスの迷路」という面白い一話があるので、興味のある方は読んでみてください。
いずれにしても、WindowsがOSの覇権を握ったわけですが、アメリカの圧力だけでこれほどまでに普及したわけではありません。当時の世界シェア9割という数字が表すとおり、それなりの理由があります。
1995年、「Windows95」が世界中で大ヒットしたのをご存じでしょうか?
その理由は簡単です。OSをスタジアムの管理人に例えましたが、それまでの管理人がポンコツで、新しく管理人になった「Windows95」さんが非常に優秀だったからです。
具体的には、
マウスやスタートメニューよる視覚的な操作ができるようになった
というのが大きな理由のひとつです。
それまでのパソコンは、プログラム言語のような専門言語(コマンドという)を用いて操作しなければならなかったため、初心者にはとても扱える代物ではなかったのです。
しかし、Windows95の登場によって、アイコンをクリックするだけで様々なアプリケーションソフトを利用できるようになりました。Windowsの由来でもある「窓」がいくつも開いて、視覚的な操作性によって、誰もがパソコンを使えるようになったのです。
更新履歴
- 2008年7月9日
- ページを公開。
- 2009年3月10日
- ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
- 2018年1月24日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2024年10月28日
- 内容修正。
著者プロフィール
YAMANJO(やまんじょ)
- 経歴
- 岡山県出身、1980年生まれ(申年)の♂です。現在、総合病院で電子カルテなどの情報システム担当SEとして勤務。医療情報学が専門ですが、ネットワーク保守からプリンタの紙詰まり、救急車の運転手までこなしています。
- 医療情報技師、日本DMAT隊員。ITパスポート、シスアドなど、資格もろもろ。
- 趣味は近所の大衆居酒屋で飲むこと、作曲(ボカロP)、ダイビング。
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