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アナログデータとは|アナログの意味と特徴

  • 著者:YAMANJO
  • 公開日:2008年7月25日
  • 最終更新日:2024年9月7日

コンピュータが取り扱えるのはデジタルデータのみです。デジタルデータを理解する前に、アナログとは何か?アナログデータの仕組みと特徴を理解しておきましょう。

アナログとはどういう意味か

アナログとは、情報工学上の理論では「数や量を連続的な物理量(長さ・角度・電流など)で表現する方式」という、素人では理解し難い定義がなされています。

そこで一般的によく例えられるのが、アナログ時計とデジタル時計です。

デジタル時計は、ドットの点滅のように数値を一定の間隔で表示するのに対して、アナログ時計は、針が絶え間なく動くことによって時間の経過を表現しています。

デジタル時計では連続する「秒と秒の間の時間」、例えば1秒と2秒の間の時間は表現できませんが、アナログ時計はその間も秒針が動いており、絶え間なく時間を表現することができます。

これがつまり、アナログの「連続的な物理量」を表現しています。アナログは絶えずゆるやかに変化していきます。こうした変化の過程を途切れることなく表現できるのがアナログの特徴です。

対してデジタルは、連続する変化の過程をすべて表現することができません。デジタルの特徴については次項で学習しますが、重要なことは、アナログは「常に変化が続く」ということです。

これが何を意味するのかというと、ある一点の値を特定することができないということを意味します。

例えば、アナログ時計の針の位置である時刻を、ちょうど「10時」とか「0時」というふうに特定することができません。常に変化が続くために「ちょうど」の値を特定することが現実的に不可能だからです。

なぜなら、針が「10時0秒」を示していたとしても、厳密には「10時1.1秒」かもしれません。つまり、突き詰めるととどこまでも細かく測定でき、例えば「0.00000000001」のような測定も可能になるわけです。

したがって、理論的には無限の情報を持つことになります。「ちょうど」の値も理論的には存在するはずですが、それを特定することはまず不可能ということになります。

私なりに定義すると、

アナログとは明確な値は提示できないが、突き詰めるとどこまでも精密に測定できる情報である

と言えます。

現実的に、どこまでも精密に測定できるかどうかは技術的な問題がありますが、アナログの本質的な性質としては無限に細かい値を取り得るということになります。

私たちの身の回りにあるアナログの製品やサービスには、

レコード、カセットテープ、ビデオテープ、写真フィルム、アナログ電話、アナログ放送

などがあります。

アナログ製品のイメージ

アナログデータとは

アナログ製品やアナログ機器ではなく、それらの製品のもととなる音声や画像、映像などの「アナログデータ」になるとどのように理解できるでしょうか?

データと言うとアナログと相反する概念と思われるかもしれません。ここで言うデータの定義としては「形式として保存されたもの」という意味です。つまり、アナログデータとは、アナログ情報を特定の形式にまとめた単位ということです。

どのようにデータ化するのかというと、音や映像、風景などのアナログ情報(振動や光などの周波数)を、電気の波である「アナログ信号」に変換して保存します。

例えば、音声の波形をマイクやセンサーなどで電気信号に変換することで、アナログ信号として記録することができます。

すなわち、

アナログ信号をそのまま特定の媒体に保存したものがアナログデータ

になります。

アナログの電気信号は、対象となる現象(音声や動画)の連続的な波形や強度をそのまま電気信号に変えたものです。

そのため、

アナログデータはリアルとほぼ同じ情報を記録したデータ

と言えます。

どのように媒体に保存するのかというと、音声のアナログ信号をレコードの溝として物理的に記録したものがアナログレコードで、映像と音声のアナログ信号を磁気テープに記録したものがビデオテープになります。

また、アナログ写真は少し特徴的ですが、フィルムが光の強さや色に応じて化学反応を起こすことで、連続的に光の変化を滑らかに記録します。ある一点の記録ではなく、光の連続的な変化を記録しています。

アナログデータの特徴

アナログデータがどのようなものか理解できると、アナログデータの特徴もわかります。

すでに学習のとおり、

リアルの音や現象などに限りなく近い

ということです。

これがアナログデータ最大の特徴であり長所です。

しかし、このことはあまり認識されていないようです。アナログと言うと「昔ながら」といったイメージがあり、アナログ電話やアナログ放送の廃止など、マイナスイメージが浸透しています。

実際に、アナログレコードを聴いたり、アナログ放送を観ていた方は、それらが高品質だと感じていたでしょうか?特にアナログのテレビ放送が高画質だと思っていた方は少ないと思います。明らかに現在のデジタル放送のほうが高画質です。

こうした実感もアナログが低品質と錯覚させる原因となっています。なぜこうした現象が起きるのかといういと、長所とは対象的に致命的な短所があるからです。

それは、

電気信号がノイズの影響を受けやすく、時間の経過やコピーによって劣化する

という特徴です。

ノイズとは、電波干渉や保存の過程で電気信号に混入する雑音や乱れのことで、音楽ではまさに雑音、映像では歪みや粒状の点などが現れます。こうしたノイズによって徐々に品質が低下していくのです。

例えば、カセットテープやビデオテープのダビングを繰り返したり、何年後かに再生すると、ひどく劣化していたということは、その世代の多くの人が経験していることと思います。

また、アナログ方法は天候によって映像が乱れることがしばしばでした。デジタル放送に切り替えて映像の鮮明さに驚いた方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際にはアナログ放送はデジタルに劣らない鮮明で美しい映像を配信しています。電波が各家庭に届くまでの間に品質が劣化してしまっているのです。

アナログ放送の電波は、山などの障害物にぶつかって劣化します。山間部では都市部よりも映像が乱れていることが多いはこのためです。逆に衛星放送は電波が障害物なしで届くので、アナログ放送であっても非常に鮮明だったのです。

そして、この特性によって、

取り扱う機器の精度に大きく依存する

という特徴も持つようになります。

取り扱う機器とは、例えば、映像を映すテレビや音楽の録音機器、再生機器などです。

なぜかというと、アナログデータは連続的な信号であり、理論的には無限の細かさが存在するため、それを忠実に再現するには、機器の性能に頼るほかありません。ノイズの抑制もしかりです。

つまり、アナログデータ自体は限りなく現物に近いデータでありながら、それを再生する機器の性能によって大きく品質が異なったり、完全に表現できないことがあるということです。

例えば、アナログの写真フィルムでは、フィルムに焼きついたデータを100%完全に画像化するための現像技術が存在していなかったという話もあります。

余談ですが、私の好きな「ゴルゴ13」の作品の中にこの問題を扱っている「シャッター」という面白い一話があるので、興味のある方は読んでみてください。

さて、このように大きな問題はあるものの、アナログデータの本質は「実際の音や現象に限りなく近い」ことです。

レコードからCDに世代交代した頃、CDの音質では音楽を聴く気にならないという人も多かったようですし、出始めの頃のデジカメの画像は、インスタントカメラ程度の画質でした。

また、特に音楽に関して、最高な音質を求めて、デジタル化が進む現在でも高価なアナログ機器を愛用している人がたくさんいます。

更新履歴

2008年7月25日
ページを公開。
2009年2月20日
ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
2018年1月19日
ページをSSL化によりHTTPSに対応。
2024年9月7日
内容修正。

著者プロフィール

YAMANJO(やまんじょ)

経歴
岡山県出身、1980年生まれ(申年)の♂です。現在、総合病院で電子カルテなどの情報システム担当SEとして勤務。医療情報学が専門ですが、ネットワーク保守からプリンタの紙詰まり、救急車の運転手までこなしています。
医療情報技師、日本DMAT隊員。ITパスポート、シスアドなど、資格もろもろ。
趣味は近所の大衆居酒屋で飲むこと、作曲(ボカロP)、ダイビング。
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