ビジネスメールを送る(9)~ メーリングリストを作成する ~
アドレス帳に登録した人数が増えていくと、ある程度のグループができて、そのグループの人たちにまとめてメールを送りたいといった場合がでてきます。
例えば、「プロジェクトA関係者」が10人おり、その10人全員に定期的にメールを送りたい場合、その都度アドレス帳から1人ずつ宛先(TO)に選択追加していくのは面倒です。
Outlookでは、そういった個人を「プロジェクトA関係者」という任意の名前のグループにまとめて、宛先にそのグループ名を指定することで全員にメールを送ることができます。
下図のように「連絡先グループ」を作成して、その中に個人を登録してまとめると、それが言わばメーリングリストとなります。人型のアイコンが複数人になっていることがわかります。
このように個人のアドレスをまとめたグループのことを、慣例的に「メーリングリスト」と呼びます。
しかし、それは「広い意味」でのメーリングリストであり、今日ではこういった機能をメーリングリストと呼ぶべきではありません。
なぜなら、メーリングリストなどのメールサービスは、SNSの普及によってどんどん高機能・多機能になっており、メーリングリストのみならず、グループメールなどの似たようなサービスも次々に生まれてきているからです。実際のところ、何をもってメーリングリストとするかの定義も難しくなってきています。
そもそも、メーリングリストとはどのようなものでしょうか?インターネット上のフリー百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」には、
メーリングリストの原理は、登録メンバーの電子メールアドレスのリストと、メーリングリスト宛ての代表電子メールアドレスを用意しておき、代表アドレスへ送信されたメールを、リストに登録されたメンバー全員のアドレスへ転送するものである。
と書かれています。つまり、メーリングリストとは、
ある特定のひとつのアドレスに送ったメールがそのグループの登録者に配布される
という仕組みになります。そして、返信もそのひとつのアドレスに返信するようになりますが、この場合も全員に返信が届きます。つまり、
宛先(TO)にグループ参加者全員のアドレスを書き込むわけではない
のです。ところが、アドレス帳のグループでメールを送る場合は、たとえ宛先がグループ名ひとつであっても、宛先(TO)に全員のアドレスが書き込まれるようになります。
ということは、厳密に言えばメーリングリストでないわけです。正確には、TOに書き込む手順を簡略化した機能であり、これに代わる機能はないので、
Outlookにメーリングリスト機能はない
ということになります。こういっては元も子もないようですが、まずはメーリングリストという用語の正確な理解をしておくことが重要です。
そもそも、メーリングリストの基本的な利用の仕方は、自分のアドレス帳に登録してあるような「知り合い」ばかりでメールをやり取りするのではなく、例えば「学校」や「地域」といった広く不特定多数の参加者があつまってグループを形成するものです。
したがって、専用のソフトウェアやインターネット上のサイトから利用するのが一般的で、メールだけではなくいろいろな機能も利用できるようになっています。
また、「宛先(TO)」に書き込むと全員にメールアドレスが表示されるため、グループの中にはメールアドレスを知られたくない人もいるかもしれません。
正規のメーリングリスト(もしくはグループメールといったメーリングリスト的サービス)を利用したい場合は、らくらく連絡網で情報共有する でサービスの一例を紹介していますので、 参考にしてみてください。
本項では、広い意味で(または間違った意味で)メーリングリストとして活用されている連絡先の「連絡先グループ」機能について学習して行きたいと思います。
では、実際にグループを作成してみましょう。
まず「連絡先」画面を開いて、「ホーム」タブの「新しい連絡先グループ」ボタンをクリックします。
すると、「連絡先グループ」画面が立ち上がります。
任意のグループ名称を「名前」の欄に記入します。ここでは「プロジェクトA関係者」とします。
次に、メンバーを追加していきます。「メンバーの追加」ボタンをクリックすると、「連絡先」もくしくは「アドレス帳」を選択することができます。
ただし、「連絡先」でも「アドレス帳」でも、アドレス帳の画面が立ち上がります。
連絡先に登録される人型のアイコンの一覧から選択するわけではありません。「Outlookの連絡先」とは、下図の「連絡先」というフォルダを指します。
ここで「連絡先」フォルダ以外に任意のフォルダを作成していて、アドレス帳の優先順位を設定している場合は、それぞれで異なる一覧が表示されるようになります。(詳しくは後述します)
アドレス帳からメンバーを選択すると、画面下の「メンバー」のところに追加されていきます。
「OK」ボタンをクリックすると、「連絡先グループ」画面に戻ります。
「保存して閉じる」ボタンをクリックすると、新しいグループ「プロジェクトA関係者」が登録されます。
連絡先グループの場合は、ダブルクリックすると、メンバー構成の画面(「連絡先グループ」画面)が開きます。メンバーの追加や削除はこの画面から行うことができます。
また、メンバーはプレビュー画面(閲覧ウィンドウ)でも確認することができます。
では、作成した連絡先グループにメールを送ってみましょう。
メールの送り方は通常通り、メール画面に切り替えて「メッセージの作成」画面より行います。
前項で学習のとおり「宛先」もしくは「CC」、「BCC」ボタンをクリックします。
アドレス帳から、登録したグループ「プロジェクトA関係者」を選択します。
すると、宛先にグループ名が入ります。
このまま送信すると、グループ全員に送信することができます。
実際に送ってみましょう。
受信者には、下図のように、グループ名「プロジェクトA関係者」ではなく、グループの個人の名称が表示されるようになります。
これは、ある意味当然のことで、
グループ名が相手に表示された方がトラブルになる可能性が高い
というのは、これまでの学習でもう十分お分かりだと思います。
例えば「クレーマー」といったグループ名が相手に表示されたら大変なことになりますし、そもそもグループに入れられているということが伝わるだけでも相手はいい気がしない場合があります。
また、送信時のグループ名の前にある「+」をクリックして展開することもできます。
「+」の部分をクリックすると、下図のようなメッセージが表示されます。
展開後にグループ名に戻せないという意味なので特に問題ありません。「OK」ボタンをクリックすると、メンバーが展開されて一人ずつ表示されます。
この展開機能はどのような場合に使うのかというと、グループの一部の人には送りたくない場合です。
例えば、上図の例で「幕ノ内一歩」だけには送りたくない場合、
「Delete」(または「BackSpace」)でその個人を削除する
ことができます。
また、相手側にグループ名が表示される心配はないので、わざわざ展開しなくてもグループ名のまま送るのは何ら問題ありません。
では次に、連絡先グループに関連して、連絡先の登録者の一覧をフォルダで分類、整理する方法について知っておきましょう。
フォルダとは、下図のように、「連絡先」という登録先(フォルダ)以外に、「プロジェクトA関係者」のような登録先(フォルダ)を新たに作成することです。
このように、デフォルト(初期設定)の「連絡先」というフォルダ以外に任意のフォルダを追加し、登録先を分けて整理することができます。
フォルダで整理することは連絡先グループを作成することと同じことのようですが、意味合いが異なります。フォルダに入っているメンバー全員に一斉メールを送るといった機能はありません。
ではなぜ本項で学習するのかというと、このフォルダは、当初に少し触れたように、「アドレス帳」に関係してくるからです。
まず、フォルダの追加方法を知っておきましょう。
操作は簡単で、「連絡先」フォルダを選択した状態で「フォルダー」タブの「新しいフォルダー」ボタンをクリックするか、右クリックメニューから「フォルダーの作成」を選択するだけです。
すると、「新しいフォルダーの作成」画面が表示されます。
任意の名称をつけて「OK」ボタンをクリックすると、フォルダが追加されます。
新しいフォルダに新たなメンバーを登録したり、「連絡先」から移動させたりすることができます。
新規登録は、フォルダを選択した状態で「新しい連絡先」ボタンより登録します。「連絡先」フォルダから移動する場合は、下図のようにドラッグ&ドロップで移動することができます。
または、右クリックメニューの「移動」からフォルダを移動することもできます。
どちらのフォルダにも登録しておきたい場合は、コピーすることもできます。
コピーは、同様に右クリックメニューの「移動」から「フォルダーへコピー」を選択し、コピー先のフォルダを指定します。
すると、どちらのフォルダにも登録することができます。
複数のフォルダにコピーして登録した場合、どちらかを削除したら両方とも削除されることはありません。選択中のフォルダから削除されるだけです。
削除は、同じく右クリックメニューの「削除」もしくは、「ホーム」タブの「削除」ボタンから削除することができます。
また、作成したフォルダも同様に右クリックメニューの「フォルダーの削除」もしくは、「フォルダー」タブの「フォルダーの削除」ボタンから削除することができます。
これら、登録したメンバーやフォルダーを削除した場合、完全に消去されずに、「削除済みアイテム」に一旦保存された状態になります。
ただ、連絡先の画面に「削除済みアイテム」はありません。メール画面のアカウントの中の「削除済みアイテム」にメールなどと一緒に一括して入ります。
完全に削除したい場合は、この「削除済みアイテム」からもう一度削除する必要があります。
さて、こうしてフォルダを追加すると、「アドレス帳」はどのように表示されるでしょうか。
前項で学習したとおりアドレス帳を開いてみましょう。すると、登録した「プロジェクトA関係者」フォルダとメンバーが表示されていません。
これは、通常の「連絡先」フォルダがデフォルトで表示されるようになっているからです。
そのため、フォルダを切り替える必要があります。「アドレス帳」のリストメニューから新しいフォルダ「プロジェクトA関係者」を選択することで表示を切り替えることができます。
すると、「プロジェクトA関係者」のメンバーが表示されます。
デフォルトで表示させるフォルダを「連絡先」から変更することもできます。
アドレス帳の「ツール」から「オプション」を選択すると、下図の「アドレス」画面が表示されます。
上側は少し専門的になるので割愛しますが、下側がアドレス帳を開いたときに表示させる一覧の選択になります。このリストメニューから任意のフォルダを指定することができます。
アドレス帳やオプションのリストメニューに追加したフォルダが表示されない場合は、追加したフォルダ上で右クリックし、メニューの「プロパティ」からプロパティ画面を開きます。
「Outlookアドレス帳」タブを選択し、「電子メールのアドレス帳にこのフォルダーを表示する」にチェックを入れると、フォルダを表示させることができます。
こうして、最初に表示するアドレス一覧を変更した場合に、下図の「Outlookの連絡先から」と「アドレス帳から」の選択によって表示されるアドレス帳が異なるようになります。
少々専門的になりましたが、以上で、連絡先グループとフォルダの仕組みと操作方法については、十分理解できていると思います。
次に補足として、連絡先グループへの一斉メールでは、特に相手側の表示について意識する必要はないとしていましたが、じつは一点だけ、意識しておきたいところがあります。
それは、
グループの個人名の表示順位を適正にしておく
ということです。
どういうことかというと、連絡先グループに登録している順番で相手側にも個人名が表示されるため、グループ内の序列に合わせて並び替えておく必要があるということです。
そこまで気にする必要があるのかと思われるかもしれませんが、例えばこの「プロジェクトA関係者」の場合で「幕ノ内一歩」が責任者だったら、一番最後に名前があったらいい気はしないはずです。(仲間内だけのグループであれば意識する必要はありません)
では、グループのメンバーだけ「フリガナ」を編集して並び順を調整するのかとうと、そうではありません。
グループ内の並び順は「表示名」に従う
という設定になっています。
登録した「プロジェクトA関係者」の並び順を見てみましょう。
なぜか「空条承太郎」が一番上になっています。「クウジョウジョウタロウ」が「アオツキウシオ」より上にあるのです。
表示名であっても、あくまで正しい名前なのにどうして昇順に並んでいないのかというと、漢字でソートされているからです。おそらく「空(くう)」、「蒼(そう)」、「鷹(たか)」、「幕(まく)」で処理されていると思われます。
このあたりはもう少し改良を加えてほしいところですが、並べ替えをしようと思うと「表示名」を編集しなければなりません。
すでに学習のとおり、「表示名」の登録内容は相手側に表示されます。なので、数字やアルファベットを頭文字にするのも逆効果で、かなりの難題となるわけです。
そこで、裏技的に使う技法が、空白(スペース)を先頭に入れる方法です。
下図のように、「表示名」の名前の前にスペースを挿入します。(半角スペースは不可)
保存して閉じ、連絡先グループを開きます。すると、「幕ノ内一歩」の並び順が一番上になっています。
編集が適用されていない場合は、「今すぐ更新」ボタンをクリックすると変更が適用されます。「保存して閉じる」ボタンで確定します。
こうして、連絡先グループを指定して新規メールを送信すると、受診者側では、下図のように「幕ノ内一歩」が先頭に表示されます。
また、先頭に空白が来るため、違和感はほとんどありません。
ただし、この方法は一人にしか使えません。すべての順位を調整することができないので、どうしても先頭にしたいメンバーがいる場合に使ってみてください。
では以上で終わりたいところですが、最後にまた応用的な技術を紹介しておきます。
応用操作になりますので、ここから先は読み飛ばしてもかまいません。余裕があれば読み進んでください。
このままついでに、「アドレス帳」の順番についても知っておきましょう。
またややこしいことに、
「連絡先」の順番と「アドレス帳」の順番は同じではない
ということに気づかれているかもしれません。それぞれ並び順の設定が異なります。
まず、下図が「連絡先」の並び順です。
登録した「フリガナ」の順に並んでいます。ただし、連絡先グループ「プロジェクトA関係者」は上に来るようになっています。
そして、下図が「アドレス帳」の並び順です。
この場合は、登録した「フリガナ」がまったく無視されています。「スピードワゴン財団」が一番上になっており、「蒼月潮(アオツキウシオ)」より「山岡士郎(ヤマオカシロウ)」などのほうが上に来ています。
連絡先グループと同様に、漢字でソートされていることがわかると思います。
ただ、アドレス帳の場合は、どこの漢字に従っているのかといういと、「表示名」ではなく「件名」というフィールドに従っています。この画面に「件名」は表示されていません。
では「連絡先」画面で登録するのかというとそうでもありません。
デフォルト(初期設定)で「件名」は表示されない
というなかなかの仕組みになっています。
つまり、連絡先に「件名」の登録項目がないために、入力することができないわけです。
したがって、この「件名」をまず表示させなければなりません。
まず、「ホーム」タブの「現在のビュー」部分のリストをクリックして展開します。
すると、下図のようにアイコンの一覧が表示されます。これは、「現在のビュー」の文字どおり表示を切り替えるという意味です。
デフォルトは「連絡先」になっています。この表示を「一覧」に切り替えます。すると、アイコン形式だった表示が下図のように詳細な一覧に切り替わります。
なぜ表示を切り替えるのかというと、これもなぜか不明ですが、一覧表示でなければ「件名」欄が表示されないからです。
次に、一覧の「姓」や「名」などのタイトル部分を右クリックして、メニューより「ビューの設定」を選択します。
すると、「ビューの詳細設定」画面が表示されます。「列」ボタンを選択します。
すると、「列の表示」画面が表示されます。「対象となる列グループ」のリストメニューから「すべての連絡先フィールド」を選択すると「件名」が追加できるようになります。
右側に追加し、項目数が多いので「件名」の表示順を「上へ」ボタンで上位に移動します。
これで「OK」ボタンをクリックすると、一覧表示の項目に「件名」列が追加されます。
すでに「姓」と「名」を足した名称が「件名」として入力されています。
この「件名」を直接手入力で修正します。具体的には「ふりがな」を入力すると、ふりがなの名前順に並び替えることができます。(カタカナでももちろんかまいません)
入力後、「件名」の三角マークをクリックすると、件名で並び替えが行われます。
これで「アドレス帳」を開いてみましょう。「名前」の列が「件名」に入力した文字列に変更され、名前順にソートされていることが確認できます。
この要領で、任意の「件名」を入力して並び替えを行うことができます。
例えば、件名の先頭に数字を付けることで自由に順位を調整することができます。(件名の登録名は相手側に表示されません)
かなり応用的な操作も入ってしまいましたが、ここまで理解しておくと、Outlookの連絡先の整理や連絡先グループへの送信については、十分に使いこなすことができると思います。
更新履歴
- 2014年8月11日
- ページを公開。
- 2018年1月10日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2020年6月10日
- メールソフトをWindows LiveメールからOutlookに変更。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
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