ビジネスメールを送る(10)~ 開封確認・配信確認・重要度の設定 ~
通常のメールのやりとりについては、これまでの学習でほぼ難なくこなせるレベルに達していると思います。ここからは少しだけ応用的な機能や操作について学習して行きましょう。
応用的といっても、あくまでメールのやりとりというメーラーのコア機能を補助、補完する機能です。
テストメールを送ってみる でも多少触れましたが、パソコンのメーラーによるメールでは、
相手が読んだかどうか確認することができない
というもどかしい問題があります。
相手から返信等のリアクションがなければ、送信したメールが相手に読んでもらえたのかどうか、そもそも相手に届いているのかどうかすらもわかりません。
一方、LINEなどのアプリでは、画面上で「未読」や「既読」が表示されるため、相手が読んだことを瞬時に確認できます。LINEが広く普及した大きな要因のひとつですが、こういったサービスの登場により、パソコンメールはさらにもどかしさを増したように思います。
そのため、ビジネスでは、受信したメールには返信するのが原則であり、できるだけ早く返信するのがマナーになります。返信の内容に意味を持たせるのではなく、
返信したことで読了したことを知らせる意味がある
のです。
大げさに言うと「わかりました」のような内容だけでもかまいません。まずは「読んだことを知らせる」のが大切で、それを素早く知らせるのがマナーになるわけです。
では、そのことを理解したうえで、本項では「開封確認」、「配信確認」および「重要度」という機能について学習していきたいと思います。
まず、「開封確認」機能についてです。
開封確認とは、下の図のような「開封メッセージを要求しています。確認のメッセージを送信しますか?」というメッセージを、相手側のメーラーに表示する機能になります。
つまり、送信先の相手の画面でメッセージを表示させ、返信を促すという機能になります。このメッセージに相手が「はい」をクリックすると、下図のようなメールが返ってきます。
したがって、相手からメールを返してもらわなければならないことに変わりはないのです。
ただ、その返信の操作が「はい」というボタンひとつになり、簡略化されたにすぎません。そして、返信されたメールは上図のような無機質なメールが返ってくるだけです。
この「開封確認」は、通常のメールの送信時に付けて加えて送るイメージになります。
操作方法はとても簡単です。
メールを作成し、「オプション」タブより「開封確認の要求」にチェックを入れるだけです。
このまま送信すれば、開封確認メッセージ付きメールを送ることができます。
ただし、「開封確認」にチェックを入れても画面のどこにもそれが表示されません。
開封確認メッセージを付加しているのかどうかわからなくなる
ことがあるので、開封確認メッセージを確実に送信したい場合は、メールを送信する直前にチェックを入れるようにしましょう。
さて、このように簡単な操作で送ることができる開封確認メッセージは、相手にとっても「はい」というボタンひとつで返信できるため、負担にならないだろうと安易に使ってしまう人がいます。
しかし、
開封確認メッセージは送らないのがマナー
になっています。
なぜなら、自分がビジネス関係の相手から開封確認メッセージを受信した場合のことを考えてみてください。
どことなく「偉そう」な印象を受けないでしょうか?「開封メッセージを要求しています」という一方的なメッセージに誠意は感じられませんし、失礼な感じさえ受けます。
そのため、開封確認メッセージであえて「はい」を選択しない人もいます。
つまり、「いいえ」を選択されるか「×」で閉じられる場合も少なからずあるのです。
「いいえ」を選択されると開封確認メールは返信されない
ため、開封確認ができないことになります。
こうなると、相手の読了状況がわからないうえに、相手の印象を悪くするという状況に陥ります。
また、
開封確認メッセージは1度しか表示されない
ので、相手の操作ミスでも返信されません。
いずれにしても相手の返信が頼りであることには変わりがないので、開封確認メッセージを送っても開封確認ができない場合があるということです。
さらに言えば、
Yahoo!メールなどのフリーメールや携帯メールは開封メッセージに対応していない
場合が多いので、使わないほうが無難なのです。(フリーメールについては、Yahoo!メールを利用する を参照してください)
こういった理由から、現在では開封確認メッセージは敬遠され、一概には言えませんが、マナー違反と感じる人が多いようです。安易にこの機能を使っていると、重要な取引先の印象を悪くする恐れさえありますので、そのことを覚えておいてください。
また、開封確認メッセージ要求付きのメールを削除する場合に、「未開封」のまま削除しようとすると、表現が「開封メッセージを要求しています」から「削除メッセージを要求しています」に変わることがあります。
プレビュー画面に表示されると開封になるため、未開封のままというのは、なかなかイメージができないかもしれませんが、下図のように複数のメールをまとめて削除すると、その中のメールが未開封になることがあります。
この中に開封確認の要求メールがあると削除確認のメッセージが表示されます。
そのため、
削除確認という機能があるように誤解される
ケースがありますが、あくまで開封確認要求の表示が変化するだけです。
この場合、「はい」を選択すると「削除されました」という通知が返送されます。「いいえ」を選択すると何も返信されません。
「開封されました」ならまだしも「削除されました」と通知されると、プレビューすらされていないわけで、見ていないことが確定的になります。
このように、開封確認は削除確認という側面もあり、削除通知がされることも失礼ですし、お互いにあまりメリットがありません。
また、開封確認機能を利用した迷惑メールも存在します。
「はい」で返信してしまうと、そのメールアドレスが使われていることが相手にわかってしまうわけです。開封確認メールを受け取った場合には、安易に「はい」を選択しないようにしましょう。
では次に、「配信確認」機能についてです。
開封確認のチェックボックスのところで気づかれたと思いますが、Outlookには開封確認とは別に「配信確認」という機能もあります。
操作方法も同じで、メールの送信時に「配信確認の要求」にチェックを入れるだけです。
開封確認はメッセージを相手側に表示させる機能ですが、
配信確認は相手のメールサーバまでメールを届けたことを通知する機能
になります。
つまり、相手のメーラーまで届いたかどうかではなく、契約しているプロバイダ等のメールサーバのメールボックスまで届いたことを確認することができます。(メールの仕組みについて詳しくは、電子メールの仕組み を参照してください)
例えるなら、相手の最寄の郵便局までは届けた証明をしてくれるというところです。
メールの仕組みとして、メールは個人のメーラーまで届くわけではなく、個人がサーバのメールボックスにアクセスして「受け取る」作業が必要になります。
したがって、
相手がメーラーに受信しているかどうかまではわからない
ということになります。当然、読んでいるのかどうかもわかりません。
こう言うとあまり意味のない機能のようですが、基本的には相手のメールサーバまで届いていれば、送信者に非はなく、言い換えると、メールを見ていないのはこちらのせいではないと主張することができます。
メールというのは、相手のメールサーバ(メールボックス)に確実に届くとは限りません。双方のセキュリティ設定や添付ファイルの種類、迷惑メールとして扱われるなどといった様々な状況によって届かないことがあります。
そのため、メールサーバに届いていることが確認できるというのは意味があることなのです。
しかも、
配信確認の要求は相手側に何も通知されない
ので、マナーを気にする必要もありませんし、相手は「配信確認の要求」をしていることを知り得ませんので、大事なメールを送信する場合にはチェックを入れて送信してみましょう。
配信状況は、メールの受信とエラーメール で学習した「Mail Delivery System」からメールが返送されます。
エラーメールでは、件名が「Undelivered Mail Returned to Sender」などでしたが、配信ができている場合は、件名が「Successful Mail Delivery Report」のように「Successful(成功)」となります。
メール本文の内容もすべて英語なので少々難解になりますが、基本的に件名で把握することができます。
一方、配信ができていない場合は、エラーメールと同様に「Undelivered Mail Returned to Sender」の件名でメールが届きます。配信できないということは、エラーメールになるというわけです。
また、これら開封確認、配信確認は、自動的にすべてのメールに付加したり、開封確認メッセージに自動的に返信するような設定も可能です。
通常は、メールの送信のたびにチェックを入れたり、開封確認メッセージに対して「はい」か「いいえ」を選択しますが、Outlookに自動化の設定しておくことができます。
「ファイル」タブより「オプション」を選択し、オプション画面の「メール」から「確認」までスクロールします。
上部は、すべての送信メールに対して開封確認、配信確認のメッセージを要求する設定で、下部は、開封要求メッセージを受信した場合に、常に「はい」、常に「いいえ」を送信する設定です。
この部分のチェックによって自動化設定が可能ですが、マナー的問題やトラブルを避けるため、その都度確認するほうが無難です。
また、いずれにしてもメーラーの機能では、相手が確実に「読んだ」ことを確認するには、相手方のアクション(開封確認メールに「はい」を選択)が必要になります。
では、それがマナー的によろしくないとなると、どうすればよいのでしょうか。
いくつか方法がありますが、まずは、
迷惑メールと間違えられない件名をつける
のがもっとも基本的で大事なことです。
多くの人は「件名」だけを見て、そのメールの内容を読むかどうかを判断します。つまり、件名はもっとも気を配るべき重要なものなのです。
本文の書式とマナー で学習のとおり、件名のつけ方ひとつで迷惑メールと間違えられて、読まれることなく削除されてしまいます。
まず、件名の正しい書き方を今一度おさらいしておきましょう。
一番重要なポイントは、
要件を具体的に示す
ことです。
件名の名のとおり「~の件です」とすると具体的で間違われません。例えば、「8月19日の打合せの件です」とか「9月の商品発注の件です」という感じで具体的に示しましょう。
ただし、日付等が具体的であっても「25日の例の件です」といった、もったいぶった件名はよくありません。怪しい取り引きならともかく、そうした言い方をする必要性はなく、不快に感じる人もいるでしょう。
仮に、他人に見られてまずい内容のメールを送る場合は、セキュリティー上の問題(詳しくは、電子メールの危険性 を参照してください)から好ましくありませんが、事前に電話等で連絡してから送るようにしましょう。
また、件名だけでどのような内容なのかを伝えることが大切なので、「いつもお世話になります」といった気遣いはまったく必要ありません。
特に、「新春の候~」や「平素は格別のご高配を賜り~」といったビジネス文書のようなあいさつ文を件名にするのはやめましょう。(ビジネス文書のあいさつ文については、ビジネス文書の作成(3) を参照してください)
次に、はじめて送る相手の場合や数回しかやりとりしたことがない相手、要するに相手がこちらのことをあまり知らない可能性がある場合は、
所属(会社名や所属団体など)や氏名を入れる
というのも基本的なやり方です。
件名に差出人の氏名が表示されるわけですから、迷惑メールに間違われる可能性はかなり低くなります。
ただし、細かい部署名や肩書きまで入れる必要はありません。例えば「山川商事の磯野です」や「山川商事 磯野」のように簡潔にします。
これらを合わせて、「山川商事の磯野です。9月の商品発注の件」や「8月19日の打合せの件(山川商事 磯野)」のような件名にすると、相手にとってわかりやすくなり、迷惑メールに間違えられることはないと思います。
ただし、注意しなければならないのは、
件名が長くなると途中で表示されなくなる
とうことです。
表示領域の大きさにもよりますが、下図のように長い件名は途中で表示されなくなります。
上の例では、「例の・・・」となり肝心なところが消えてしまっています。そのため、大事なことから先に記述するようにしましょう。おおむね20文字以上にしないほうが無難です。
また、注意を引きつけようと「記号」を使うケースもよく見かけます。
例えば、【重要】や【至急】などのように記号を使って、「【重要】8月25日の振込みの件です」などのように強調した件名をつける方法です。
この方法は多くのサイトでは有効と紹介されていますが、個人的にはあまり好きではありません。というのも、迷惑メールでよく見るバターンになってきたからです。
下図は、典型的な迷惑メール(詐欺メール)の一例です。【重要】と先頭につけて強調しています。
また、実在の企業名で実在のサービスを本物のように見せかけています。メール本文のリンクをクリックして、案内のとおりにIDやパスワードを入力するとその情報が盗み取られてしまいます。このような卑劣な手法がよく見かけられます。
そのため、目立たせようとするのは逆効果になる場合があります。「簡潔に具体的に」を基本とし、状況に応じて適切な件名をつけるよう常に意識するようにしましょう。
ただ、それでも本当に重要なメールであれば、強調して送りたい場合もあります。
そういう場合には、
メッセージに重要度をつける
ことで強調させることができます。
これは記号を使った強調方法と似ていますが、文字ではなく「アイコン」と「色」で強調されます。
下図は、重要度を「高」に設定したメールのイメージです。
右の端に赤色の感嘆符(びっくりマーク)のアイコンが付加されています。それほどインパクトのある強調ではありませんが、たいていの場合は気づきます。
これまでに、こういったメールを受信して疑問に思われたことがあるかもしれませんが、感嘆符があるからといってウィルスの警告のような恐ろしいものではありません。
またメールを開くと、下図のように「このメッセージは"重要度-高"で送信されました」と表示されます。
こう警告のように表示されるとどこか恐ろしく感じてしまいますが、これはただ単にこういうメッセージを表示しているだけで、
重要度はただ相手の注意をひくだけのもの
にすぎません。なので、恐れる必要はまったくありません。ウィルスメールだと思って開かないまま削除しないように注意してください。
ただし、もうおわかりのとおり、この機能も迷惑メールで悪用されています。そのため、知らない相手からの重要度つきのメールには十分に注意が必要です。
さて、ではその重要度の設定方法ですが、これも非常に簡単です。
メールの送信時に「メッセージタブ」より「重要度-高」もしくは「重要度-低」を選択するだけです。
つまり、重要度は「高」と「低」の2種類を選択することができます。「高」を選択した場合は上記のとおりで、「低」選択すると下図のように、青い下向き矢印のアイコンで強調されるようになります。
重要度を設定した場合は、開封確認とは異なり、設定している状態がメッセージの作成画面に表示されるので、忘れてしまうことはありません。
重要度は「高」と「低」しかないように思えますが、Outlookの概念では通常のメールが「普通」であり、「低」を設定すると、通常メールより重要度が低いとみなすようです。
ただし、この機能は、あまり広く使われているとはいえません。そのため、ウィルスの警告だと勘違いされたり、逆に警戒されて見てもらえないということも考えられます。
そのうえ、開封確認メッセージと同様に、
Windows系のメーラー同士でのみ有効な機能でフリーメール等では表示されない
場合がほとんどなので、これも状況を考えて利用するようにしましょう。
さて、このように開封確認等の機能が万能ではないため、適切な件名や重要度の設定によって、確実に相手に読んでもらえるようにするのが原則になります。
しかし、それでも送ったメールが相手に伝わったのかどうかをどうしても確認しておきたい場合があるものです。そういう場合には、後から確認するのではなく、
メールを送信するときに、返信してほしい旨を本文中に記述して送る
ようにしましょう。
例えば、「ご返信いただければ幸いです」や「お手数ですが確認のためにご返信ください」といった一文を入れておきましょう。これは、開封確認メッセージよりもよっぽど誠意がこもっています。
それでも返事が返ってこないとき、送った後からどうしても既読の確認をしたい場合には、
再送の旨を一文追加してもう一度同じ内容のメールを再送する
ことで、かなりの高確率で返信を受けとることができます。
例えば、「〇日にメールをお送りしましたが、お読みいただけましたでしょうか?責任をもって対応させていただくため、念のためにもう一度お送りいたします。お読みいただいている場合は何卒ご容赦ください」などと誠意をもって返信を促します。
もしくは、裏技的な手法になりますが、例えば「プロバイダよりシステム障害の通知がありました。念のためもう一度お送りします」などと(許せる範囲のウソを)記述して再送します。
これらの場合、相手は不快に感じることはあまりないでしょう。
返信していなかった怠慢に責任を感じて多くの場合は返信してくれます。ただし、こういった手法も乱用していると逆効果になりますので、十分に気をつけてください。
あくまでも大切なことは、開封確認機能に頼らないということです。相手の立場や状況を考えて適切な機能を使うようにしましょう。
更新履歴
- 2014年8月20日
- ページを公開。
- 2018年1月10日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2020年6月13日
- メールソフトをWindows LiveメールからOutlookに変更。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
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