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エクセルでバーコードとQRコードを作成する
物品や商品の管理などを経験された方は、バーコードを読み取って在庫管理をしたり、QRコードを読み取って発注をかけたりしたことがあると思います。
バーコードやQRコードには数字や文字などの情報を埋め込むことができ、バーコードリーダーやスマートフォンなどで瞬時に読み取ることができるので、間違い防止と効率化に大きく貢献してきました。
あまり知られていませんが、こうしたコードをExcelで作成することができます。本項では、いくつかあるExcelでの作成方法と、自作したコードの使い方について学習していきたいと思います。
ではまず、バーコードから作成していきましょう。
ただし、一言でバーコードといっても、多くの種類があることはあまり知られていません。同じようなコードに見えますが、じつはバーコードには種類(規格)がいくつもあるのです。
そのため、
どの規格のバーコードを作成するかを決めておかなければならない
ということになります。
本項でバーコード規格についての細かい解説は割愛しますが、「JAN」、「NW-7」、「ITF」、「Code39」、「Code93」などいくつもあります。
それぞれ、規格が誕生した経緯や年代などから埋め込むことができる情報に違いがあります。例えば「JAN」は世界共通のコードで広く使用されていますが、数字だけしか扱え(埋め込め)ません。「Code39」は数字だけでなくアルファベットや記号も扱うことができます。
また、桁数が決められている規格もあります。ここでは規格にそって厳密に作成するわけではありませんが、例えば企業や地域など、個人の範囲を超えて使用するバーコードを作成する場合は、対象とする規格やルールを厳密に守るようにしましょう。
では、1つ目の方法として、
バーコードフォントをインストールする方法
で作成してみましょう。
これは、まさに文字通りフォント(字体)としてバーコード変換する方法です。例えば「1」と入力すると、自動的にフォントとしてバーコード変換してくれます。
下図のように、任意のセルに「1」と入力します。この場合のデフォルトのフォントは「MS Pゴシック」で、通常どおり数字の「1」が表示されます。
このフォントを「MS Pゴシック」から「NW-7」に変更します。すると、数字の「1」がバーコードに変換されます。
フォントを切り替えるだけで、「NW-7」規格のバーコードに変換することができるというわけです。
このバーコードを読み取ると数字の「1」となるわけですが、NW-7は始まりと終わりにアルファベット「A,B,C,D(a,b,c,d)」のどれかを付けるという決まりがあるため、例えば「1234」を表現したい場合は「a1234a」のように入力します。
このバーコードをリーダーで読み取ると、数字の「1234」となります。
フォントの切り替えだけでバーコードが作成できるので、非常に簡単です。ただし、
フォントをインストールしなければバーコードフォントは利用できない
というそもそもの問題があります。
バーコードフォントは最初からインストールされているわけではありません。フリーでダウンロードできるフォントもありますが、基本的には有料で購入するケースが多いようです。
では次に、2つ目の方法として、
フォームコントロールから挿入する方法
で作成してみましょう。
フォームコントロールは、チェックボックスの作成 で学習したとおり、チェックボックスやラジオボタンなどを作成できるツールで、通常は非表示になっている「開発」タブを呼び起こすことで利用することができます。(詳しくは、チェックボックスの作成 を参照してください)
このフォームコントロールの中にバーコード作成のツールも含まれています。「開発」タブの「挿入」ボタンより「コントロールの選択」を選択します。
すると、「コントロールの選択」画面が表示されます。「Microsoft BarCode Control」を選択します。
この「16.0」の部分は、お使いのExcelのバージョンにより異なります。「OK」ボタンをクリックすると、描画モードになりカーソルが「+」に変化します。マウスをドラッグして、任意の位置と大きさに描画します。
すると、バーコードが作成されます。
ただし、「Sample」の文字があるとおり、このままではバーコードとして読み取れません。まだ情報が何も入っていない状態です。右クリックのメニューから「プロパティ」を選択し、プロパティ画面の「Value」欄に埋め込みたい値を入力します。
この場合は「1234」と入力しました。これで確定し「×」ボタンで閉じるとバーコードに数字を埋め込むことができますが、「1234」を入力して閉じると、下図のようにバーコードが消えてしまいます。
これは、バーコードの規格が初期設定で「JAN」になっているためです。JAN13桁タイプのバーコードなので「13桁」の数字でなければなりません。
数字を13桁に変更すればバーコードが表示されますが、ここではバーコードの規格を変更してみましょう。
右クリックメニューから「Microsoft BarCode Control オブジェクト」→「プロパティ」を選択します。
すると、「Microsoft BarCode Control オブジェクトのプロパティ」画面が表示されます。
「スタイル」のリストメニューから規格を変更することができます。ここでは「NW-7」を選択してみましょう。
すると、バーコードの規格が「NW-7」に変更されました。
これで規格が変更できましたが、上図のとおりまた「Sample」の文字が表示されています。規格を変更すると、プロパティに入力したValueの値「1234」はクリアされてしまいます。
もう一度、右クリックのメニューから「プロパティ」を選択し「Value」に「1234」を入力します。
すると、「NW-7」規格のバーコードで「1234」を埋め込むことができました。(バーコードの下に値が表示されています)ただし、前述のとおりNW-7の規格は、始まりと終わりにアルファベットが必要なので、Valueは「a1234a」と入力する必要があります。
以上でバーコードの作成が完了です。これでバーコードリーダーで読み取ることができます。
この方法も非常に簡単です。フォントとは異なり、基本的に「Microsoft BarCode Control オブジェクト」はOfficeのフォームコントロールの中に含まれています。
そのため、あまり古いバージョンのExcelでない限り、Excelがあればバーコードを作成することができます。また、Wordでも同様の操作でバーコードを作成することができます。
注意点としては、保存等でフォームコントロールが操作できなくなる場合(マウスで選択できない場合)があります。その場合は、「開発」タブの「デザインモード」ボタンを選択することでオブジェクトを操作できるようになります。
このように、フォームコントロールから作成する方法では、古いバージョンでない限り、Excelが利用できれば作成可能というメリットがあります。
一方、デメリットといっても特にはありませんが、プロパティに値を入力する必要があるので、職員全員のバーコードを作成する場合など、大量のバーコードを作成するのは手間になります。
したがって、大量のバーコードを作成する場合には、バーコードフォントを利用する方が容易に作成できるというメリットがあります。大量にバーコードを印刷する状況はあまりないかもしれませんが、例えば職員の名札を自作している場合などでは、職員番号のバーコードも合わせて印刷しておけば、システム利用時にバーコードスキャンでログインすることも可能になります。
では、最後にQRコードを作成してみましょう。
QRコードは、スマートフォンで読み取る機会も増え、馴染みの方が多いと思います。「縦」と「横」の2次元コード(縦方向と横方向でデータを表現)で、情報量が非常に多いのが特徴です。
数字やアルファベット以外にも、ウェブサイトのアドレスやメールアドレス、画像なども埋め込むことができます。また、360℃どの方向からでも読み取りが可能で、スマートフォンで読み取ることができます。
OQコードの作成方法は、もうお気づきのことと思いますが、「Microsoft BarCode Control オブジェクトのプロパティ」画面の 「スタイル」のリストメニューから「QRコード」を選択する方法になります。
つまり、フォームコントロールの「Microsoft BarCode Control」からバーコードと同様に描画して、バーコードから規格をQRコードに変換します。
QRコードは正方形なので、描画は正方形を描くようにドラッグします。Shiftキーを押しながらドラッグすると正確に正方形を描くことができます。
同様に「Microsoft BarCode Control オブジェクトのプロパティ」画面から「QRコード」を選択します。
すると、バーコードからQRコードに変換されます。
これも同じように「Sample」の文字が表示されます。右クリックメニューの「プロパティ」から「Value」に任意の値を入力します。
今回は当サイトのアドレスを入力してみました。これでサイトアドレスが埋め込まれたQRコードの完成です。
スマートフォンでこのQRコードをスキャンすると、当サイトのホームページが表示されることと思います。
また、QRコードでは任意のセルをリンクさせることもできます。つまり、セルの値によってQRコードを自動作成するように設定することが可能になります。
そのため、QRコード付きの伝票なども簡単に作成することができます。例えば、下図のような伝票に伝票番号に応じたQRコードを付与することができます。
まず、QRコードを任意の位置と大きさで作成します。
右クリックメニューの「プロパティ」の「LinkedCell」の欄に任意のセル番地を入力します。この場合は「伝票番号」の「C3」セルになります。
セル番地を入力すると、上図の「Value」には自動的にセルの値が入ります。つまり、セル値を自動的に「Value」に登録してくれるのです。できあがったQRコードをスキャンすると「伝票番号」である「245169」を読み取ることができます。
こうしてQRコードにセルを指定することで、セル値を変更すると自動的にQRコードを作り変えることができます。伝票番号を「123456」に変更すると、ともなってQRコードも変化します。
伝票番号ごとに簡単にQRコードを付与できるので、伝票に印刷しておけば物品管理がしやすくなるかもしれません。
以上で、バーコードとQRコードの作成方法については終了です。どちらも非常に簡単に作成できるので、リーダーをお持ちの場合はいろいろ実験してみてください。
更新履歴
- 2021年11月2日
- ページを公開。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- 文献
- なし
- バーコードの種類|バーコード講座|キーエンス
- https://www.keyence.co.jp/ss/products/autoid/codereader/basic-types.jsp
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