補助記憶装置(2) ~ 記録メディア・CD・DVD ~
ハードディスクとSSDだけが補助記憶装置ではないと前項で解説しまししましたが、 本項では、それら以外の補助記憶装置について学習していきましょう。
前項ではパソコン本体に組み込まれた補助記憶装置を学習しましたが、本項では、いつでもパソコンに接続でき、また取り外しが可能な装置について学習していきます。
取り外して持ち運べるという意味ですが、こうした補助記憶装置は、
リムーバブルメディア
と呼ばれています。(リムーバブル:Removableは「取り外しできる」の意味)
詳しくは下の表にまとめてありますが、中でも注意が必要なリムーバブルメディアは、
CDとDVD
になります。
なぜなら、
規格やドライブ(読み書きする装置)によって扱えたり扱えなかったりする
なかなか厄介なメディアだからです。
例えば、読み取り専用ドライブでは、再生(読み取り)はできても保存(書き込み)することはできません。また、DVDに対応していないとDVDを再生することもできません。さらに、ノートPCではCDやDVDのドライブが付いていないこともあります。
お使いのパソコンのドライブを確認してみましょう。
取り扱い説明書等がなく、使用しているPCのドライブがどんなものかわからない場合は、「PC(コンピュータ)」アイコンをダブルクリックしてドライブを確認することができます。
基本的に、補助記憶装置(HDDまたはSSD)が「C:」または「D:」ドライブになり、その他のドライブは「E:」以降となる場合が多いです。下図の場合は「E:」ドライブが外部メディアのドライブになります。(表示されない場合は外部メディアのドライブが付いていないことになります)
詳しくは後述しますが、この場合「BD-RE」ドライブとなっており、ブルーレイディスクの「RE」という繰り返し書き換え可能な規格に対応したドライブになります。REは「Rewritable(書き換えできる)」の意味になります。
つまり、書き換えできるということは、何度でも上書きすることが可能ということですが、裏を返せば、書き換えできないタイプの規格も存在するわけです。
すなわち、ブルーレイディスクといっても、その中に複数の規格が存在するということになります。また、それぞれの規格に対応するドライブも必要になってきます。
特にDVDは、ブルーレイディスクだけでなはなく、通常のDVDもさらに種類が多く、規格によってそのドライブで扱えたり扱えなかったりするやっかいな存在です。
それらに対応するために「マルチドライブ」や「スーパーマルチドライブ」、さらには「ハイパーマルチドライブ」といった多くの規格に対応したドライブが登場してきました。
下図は、ブルーレイディスクを除いた通常のDVDとCDの規格と対応するドライブになります。
対応状況 | コンボドライブ | マルチドライブ | スーパーマルチ ドライブ |
ハイパーマルチ ドライブ |
---|---|---|---|---|
CD-ROM | ○ | ○ | ○ | ○ |
CD-R | ○ | ○ | ○ | ○ |
CD-RW | ○ | ○ | ○ | ○ |
DVD-ROM | ○ | ○ | ○ | ○ |
DVD-R | ○ | ○ | ○ | |
DVD-RW | ○ | ○ | ○ | |
DVD+R | ○ | ○ | ||
DVD+RW | ○ | ○ | ||
DVD-RAM | ○ | ○ | ○ | |
DVD-R DL | ○ | |||
DVD+R DL | ○ |
あくまで基本的な対応モデルで必ずしも一致するわけではありませんが、CD規格とブルーレイディスクが登場する以前のDVD規格、対応するドライブだけでもこれだけの種類があるのです。
DVDについては、後ほどじっくりと学習していきますので、まずは、その他の補助記憶装置からみていきましょう。
種類 | 読み | 特徴 |
---|---|---|
FD | フロッピーディスク Floppy Disk |
容量は、1.44MB。ほぼ使用されなくなったメディア。ドラッグ&ドロップといった簡単な操作で保存でき、何度も書き換え(上書き・修正)や消去が可能。FDドライブをFDDと略される。 |
MO | エムオー Magneto Optical Disk |
容量は、640MBのものが一般的。ほぼ使用されなくなったメディア。ドラッグ&ドロップといった簡単な操作で保存でき、何度も書き換えや消去が可能。ドライブの外付けが一般的。 |
CD-ROM | シーディーロム | ROMは「Read Only Memory」の略で、読み出し専用のCD。アプリケーションソフトやゲームソフトなど、書き換えできないプログラムの提供に利用されている。 |
CD-R | シーディーアール | Rは「Recordable」の略。容量は、650MBと700MBの2種類。通常、ドラッグ&ドロップといった操作では保存できず、専用の書き込みソフトや対応しているドライブが必要。1度しか書き込み(保存)できず、その後は、書き換えも消去もできない。ただし「ファイナライズ」という最終処理を行っていない場合は、後から追記することができる。このことから、書き換えできない重要なデータの保存に用いられる。また、互換性が高くオーディオ機器(音楽プレーヤー等)で再生できるので、音楽メディアとしても利用されている。 |
CD-RW | シーディー アールダブリュ |
RWは「Rewritable」の略。容量はCD-Rと同じ、650MBと700MBの2種類。専用の書き込みソフトや対応しているドライブが必要。データを何度でも書き込んだり消去したりできる。(約千回という限度はある) |
USBメモリ | ユーエスビーメモリ | フラッシュメモリと呼ばれる電気的にアクセスして消去、書き換えが可能なROMの一種。ドラッグ&ドロップといった簡単な操作で保存でき、何度も書き換えや消去が可能。USBという規格のインターフェース(コネクタ)に接続して使用する。容量は、数GBのものが主流。 |
SDカード | エスディーカード | SDは「セキュアデジタル」の略。フラッシュメモリと呼ばれる電気的にアクセスして消去、書き換えが可能なROMの一種。容量は、4GB~数TBのものまで幅広い製品がある。さらに小型のmicroSDカードがあり、デジタルカメラやスマートフォンなど広く利用されている。 |
まず、CDにも「ROM」、「R」、「RW」といった規格が存在します。CDが再生できないと思ったら、そのCDの規格が「RW」で、プレーヤーが対応していなかったなどのトラブルは良くあります。
CDが使われることはほとんどなくなりましたが、音楽CDがいまだ現役で販売されていることもあり、プレーヤーで再生する音楽CDとしての利用が多いと思われます。CD-Rのところで出てきた「互換性」というのは、異なる機器や環境で利用できるという意味です。(詳しくは、互換性/バージョンとは を参照してください)
DVDに対応しているドライブであればCDを兼ねる場合がほとんどですので、いま現在では、CDについてあまり意識する必要はないかもしれません。
また、この表以外にも様々なメディアがありますが、これまでの学習のとおり、フラッシュメモリを利用した多くの製品が開発され、広く普及してきています。今後は、フラッシュメモリ製品にシフトしていくと思われます。
では、DVDについてみていきましょう。
種類 | 読み | 特徴 |
---|---|---|
DVD-ROM | ディーブイディー ロム |
ROMは「Read Only Memory」の略で、読み出し専用のDVD。アプリケーションソフトやゲームソフトなど、書き換えできないプログラムの提供に利用されている。 |
DVD-R | ディーブイディー アール |
Rは「Recordable」の略。容量は、4.7GB。専用の書き込みソフトや対応しているドライブが必要。1度しか書き込み(保存)できず、その後は、書き換えも消去もできない。ただし「ファイナライズ」という最終処理を行っていない場合は、後から追記することができる。このことから、書き換えできない重要なデータの保存に用いられる。高い互換性を持ち、さまざまなDVD機器で再生できる。 |
DVD-RW | ディーブイディー アールダブリュ |
RWは「Rewritable」の略。容量は、4.7GB。専用の書き込みソフトや対応しているドライブが必要。データを何度でも書き込んだり消去したりできる。(約千回という限度はある) |
DVD+R | ディーブイディー プラスアール |
Rは「Recordable」の略。容量は、4.7GB。専用の書き込みソフトや対応しているドライブが必要。1度しか書き込み(保存)できず、その後は、書き換えも消去もできない。ただし「ファイナライズ」という最終処理を行っていない場合は、後から追記することができる。高い互換性を持つが、DVD-Rよりは低い。 |
DVD+RW | ディーブイディー プラスアールダブリュ |
RWは「Rewritable」の略。容量は、4.7GB。専用の書き込みソフトや対応しているドライブが必要。データを何度でも書き込んだり消去したりできる。(約千回という限度はある)互換性は、あまり高くない。 |
DVD-RAM | ディーブイディー ラム |
容量は、片面4.7GBで、両面対応のものは9.4GBの記録ができる。RAMは「Random Access Memory」の略で、データを何度でも書き込んだり消去したりできる。対応しているドライブが必要だが、ドラッグ&ドロップといった簡単な操作で保存でき、何度も書き換え可能。ただし、DVDプレーヤー等では再生されないことも多く、互換性は低い。製造を終了しているメーカーも多い。 |
DVD-R DL |
ディーブイディー デュアルレイヤー |
DVD-Rの片面2層式DVD。片側に2層の記録層を設ける方式で、裏返す必要がない。 容量は、8.5GB。長時間の録画に適している。 |
DVD+R DL |
ディーブイディー プラスダブルレイヤー |
DVD+Rの片面2層式DVD。片側に2層の記録層を設ける方式で、裏返す必要がない。 容量は、8.5GB。長時間の録画に適している。-Rは「デュアルレイヤー」と読むが、+Rは「ダブルレイヤー」と読むのが一般的。 |
BD-ROM | ビーディーロム | Blu-ray Disc(ブルーレイディスク)の規格。ROMは「Read Only Memory」の略で、読み出し専用のBlu-ray Disc。アプリケーションソフトやゲームソフトなど、書き換えできないプログラムの提供に利用されている。 |
BD-R | ビーディーアール | Blu-ray Disc(ブルーレイディスク)の規格。Rは「Recordable」の略。専用の書き込みソフトや対応しているドライブが必要。1度しか書き込み(保存)できず、その後は、書き換えも消去もできない。空きがあれば、後から追記することができる。(「ファイナライズ」処理は不要)片面1層式で、25GBの容量がある。 |
BD-RE | ビーディーアールイー | Blu-ray Disc(ブルーレイディスク)の規格。REは「Rewritable」の略。専用の書き込みソフトや対応しているドライブが必要。データを何度でも書き込んだり消去したりできる。(約千回という限度はある)片面1層式で、25GBの容量がある。 |
BD-R DL |
ビーディーアール デュアルレイヤー |
BD-Rの片面2層式タイプ。片側に2層の記録層を設ける方式で、1層25GB、2層50GBの容量がある。 |
BD-RE DL |
ビーディーアールイー デュアルレイヤー |
BD-REの片面2層式タイプ。片側に2層の記録層を設ける方式で、1層25GB、2層50GBの容量がある。 |
BD-R XL |
ビーディーアール エックスエル |
BD-Rをより大容量化した「BDXL」規格。3層または4層構造でデータを記録することが可能。3層100GB、4層128GBの容量がある。ただし従来のBlu-ray Discドライブでは対応できないため、対応したドライブが必要。 |
BD-RE XL |
ビーディーアールイー エックスエル |
BD-REをより大容量化した「BDXL」規格。3層構造でデータを記録することが可能。3層で100GB容量がある。ただし従来のBlu-ray Discドライブでは対応できないため、対応したドライブが必要。 |
Ultra HD Blu-ray |
ウルトラエイチディー ブルーレイ |
次世代ブルーレイディスク規格。4Kに対応した超高画質の映像を表現できる。ただし、既存のBlu-ray Discドライブでは対応できないため、対応したドライブが必要。1層で最大33GB、3層で100GBの容量がある。 |
このとおり、かなりの種類があります。DVDの主流はブルーレイディスクに変わりつつありますが、まだまだ従来のDVD規格も広く利用されています。
お気づきのとおり、DVDには「+(プラス)」と「-(マイナス)」という規格の違いがあります。「-」は"DVDフォーラム"という団体で策定された規格で「+」は"DVD+RWアライアンス"という団体で策定された規格になります。
ビデオテープの「VHS」や「ベータ」、次世代DVDの「Blu-ray Disc」と「HD DVD」のように、規格のスタンダードをめぐって企業や団体の間で、しばしばこういう規格争いが起こります。
下図は、左がマイナス規格のロゴマークで、右がプラス規格のロゴマークになります。
ブルーレイディスクが主流になってからは規格が乱立することはありませんが、それでも新しい規格が生まれており、技術の進歩が続いています。(「Rewritable」が「RW」から「RE」になっています)
そして、こうした進歩のたびに、それに対応するドライブやプレーヤーが必要になります。従来のDVD機器ではブルーレイディスクは再生できませんし、従来のブルーレイディスク機器では、新規格の「BDXL」タイプのブルーレイディスクを再生することはできません。
しかし、原則として上位機種は下位の製品に互換性があるので、DVD対応機器はCD全般に対応でき、ブルーレイ対応機器はDVD全般に対応できます。
したがって、BDXL対応の機器があれば、ほぼすべてのディスクを扱うことができます。
更新履歴
- 2008年7月25日
- ページを公開。
- 2009年4月18日
- ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
- 2018年1月25日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2022年4月21日
- 内容修正。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- 社団法人 日本記録メディア工業会
- http://www.jria.org/
- オレンジフォーラム
- http://www.cds21solutions.org/osj/j/
- 3世代の光ディスク、BD(Blu-ray Disc)のドライブ
- https://www.pasonisan.com/pc-optical/bd-blu-ray-top.html
- 新製品ブルーレイディスク「BDXL」特設ページ
- https://av.jpn.support.panasonic.com/support/media/disc/info/bdxl.html
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