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GPUとは|グラフィックス処理から汎用計算へ

  • 著者:YAMANJO
  • 公開日:2025年2月18日
  • 最終更新日:2025年2月18日

昨今、AIやエヌビディアなどに関連して注目を集めているGPUについて学習していきましょう。本項を学習する前に、CPUとは を学習しておくことで理解がスムーズになります。

このページの目次
  1. GPUとは
  2. GPUとCPUの違い
  3. GPGPUとは

GPUとは

AI関連分野の成長によって、昨今、注目されることが多くなった半導体装置をご存じでしょうか?

NVIDIA(エヌビディア)やTSMCといった企業が設計や製造を手がけ、世界トップレベルの企業にまで成長したことで、ビジネスの世界でも注目を集めることになりました。

それが、

GPU(ジーピーユー)

という装置です。

GPUは「Graphics Processing Unit」の略で、直訳すると「グラフィックス処理装置」になります。グラフィックスとは、画像や動画、3Dグラフィックスなどのメディアコンテンツのことで、それらの処理を専門とする装置です。

CPUと名前がよく似ていますが、CPUとは で学習のとおり、CPUは演算・制御といったコンピュータの頭脳として動作します。対して、GPUはグラフィックスの処理だけを行います。

CPUとGPUのイメージ

グラフィックス処理とは、画像や動画などをスムーズにディスプレイに描画することです。そのためには、ディスプレイ(モニタ)の種類と特徴 で学習のとおり、ディスプレイ上のすべてのピクセルに対して、高速に画像を描画する必要があります。

また、3Dグラフィックスでは、動きに合わせてリアルタイムで反射、光源、影などを計算する必要があります。したがって、GPUはCPUと同じように計算処理を行う装置になります。

ただし、GPUはグラフィックス処理に特化しており、CPUを代行するわけではありません。グラフィックス処理に必要な計算だけを担当する演算装置ということです。

ではなぜ、GPUが必要になるのかというと、CPUの処理能力だけではグラフィックス処理が追いつかないからです。それほどグラフィックス処理には膨大な計算を必要とします。詳しくは後述しますが、GPUは膨大な並列計算を同時に実施できるように設計されています。

CPUも高速で計算を行いますが、基本的には少数のタスクを効率的に処理する設計になっており、3Dグラフィックス計算のように、膨大な並列計算を必要とする処理は不向きと言えます。マルチコア化が進み、ある程度の並列処理が可能になっていますが、GPUの並列処理は桁違いです。

このように、GPUはグラフィックス処理においてCPUの処理能力を補完する装置になりますが、もうおわかりのとおり、この能力がAIや科学計算にも応用できることがわかってきました。

そして、エヌビディアがGPUを画像処理以外にも使えるようにしたプログラミング技術を発表したことで、一気にGPUの汎用計算への転用が始まり、まさに爆発的にGPU市場が成長していくことになります。

CPUとGPUの違い

こうして、もともと特定の分野での処理を目的に使用されていたGPUが、本来の目的を超えて、汎用的な計算装置として利用されるようになってきました。

となると、いよいよCPUがGPUに取って代わられたようなイメージを抱きますが、そんなことはありません。

GPUは、大量の並列計算を実施できる設計になっているため、大量のデータ処理には優れていますが、逆にCPUのように、コンピュータの頭脳としてOSや機器や制御するような動作には不向きです。

CPUとは で学習のとおり、CPUも複数のコアや論理プロセッサを有し、複数のスレッドを同時に処理することができます。しかし、AND、OR、NOTなどの論理演算、IFなどの分岐処理、命令を順番に処理する逐次処理といった性能も重要視しているため、並列処理に特化せず、汎用的な設計になっています。

1つのタスクの実行において、1つのスレッド(論理プロセッサ)のみが使われる形態を「シングルスレッド」と言い、複数のスレッドで並列処理される形態を「マルチスレッド」と言います。

シングルスレッドは、大量のデータ処理には不向きですが、論理演算や分岐処理、逐次処理に優れており、例えば、OSの制御などの複雑な条件判断をともなう処理を得意としています。

対して、マルチスレッドは、並列処理による大量のデータ処理に優れていますが、タスク間の同期や制御が複雑になりやすく、複雑な計算や論理演算、逐次処理には不向きです。

つまり、CPUはマルチスレッドにも対応していますが、シングルスレッド性能も重視しているため、単一タスクの高速処理と並列処理のバランスを取った設計になっています。

一方、GPUはマルチスレッドの比重が高く、1つのコアに数百~数千という桁違いの論理プロセッサを有し、数千のスレッドを並列処理することができます。膨大なデータ処理を得意としますが、個々のスレッドは単純な計算が中心で、複雑な制御処理には不向きです。

そのため、現在のところCPUによる論理演算がGPUに取って代わられることはありません。CPUとGPUがそれぞれの得意分野を活かし、協調して動作するのが主流となっています。

GPGPUとは

このように、グラフィックス処理を目的に設計されたGPUを、一般的な計算処理に利用する技術が確立されてきたことで、従来のCPUでは難しかった並列計算を高速に実行できるようになってきました。

こうした技術のことを、

GPGPU(ジーピージーピーユー)

と言います。

GPGPUは「general purpose computing on graphics processing unit」の略で「GPUによる汎用計算」を意味します。

汎用計算の例として、AI(人工知能)や気象予測、シミュレーション、ビッグデータの分析といった様々な分野で活用されています。特にAIの分野では、GPGPUを活用した開発に各国がしのぎを削っています。

AIには、人工の神経回路を使用して、データから特徴やパターンを自分で学習するディープラーニングという手法があります。簡単に言えば、コンピュータに猫の写真を大量に学習させることで、猫の特徴を認識できるようになる仕組みです。

ディープラーニングを高度に行うことによって、顔認識や自動運転などの技術に応用することができます。しかし、ディープラーニングには大量のデータと膨大な計算が必要とされています。

そのために、GPGPUの強力な並列処理能力が不可欠になっています。こうした技術革新によって、ChatGPTなどのAIサービスが誕生してきています。

ただし、現在のところ高度な処理を可能にするGPGPUを製造している企業は数社しかありません。

NVIDIA(エヌビディア)、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)、Intel(インテル)の3社です。いずれもアメリカの大企業で、関連技術や特定のニッチ分野で製造を行っている企業はありますが、代表的な製造元はこの3社です。

熊本県に半導体工場を建設することで有名になったTSMCは、これらの委託を受けてGPGPUを生産し、シャープの買収で有名になった鴻海(ホンハイ)は製造パートナーとして、GPGPU技術を搭載した製品を製造しています。どちらも台湾の企業です。

そのため、高性能なGPGPUは非常に高価です。高性能GPGPUは、サーバコンピュータやスーパーコンピュータ向けに使用され、主に汎用計算に特化した役割を果たします。

中国のDeepSeek(ディープシーク)という企業が、低スペックのGPUを活用してChatGPTを上回るとされるAIを開発したと発表し、話題となりました。

現在では、デスクトップPCやノートPCにも、GPGPUを活用できるGPUが搭載されたものが発売されていますが、これらのGPUは、あくまでグラフィックス処理が主な用途であり、GPGPU性能はそこまで高くありません。

グラフィックス用のGPUで、GPGPU機能が一部の計算処理に活用できるということです。また、ゲーム向けのGPUは大量生産されており、消費者向けに安価に提供されています。

更新履歴

2025年2月18日
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著者プロフィール

YAMANJO(やまんじょ)

経歴
岡山県出身、1980年生まれ(申年)の♂です。現在、総合病院で電子カルテなどの情報システム担当SEとして勤務。医療情報学が専門ですが、ネットワーク保守からプリンタの紙詰まり、救急車の運転手までこなしています。
医療情報技師、日本DMAT隊員。ITパスポート、シスアドなど、資格もろもろ。
趣味は近所の大衆居酒屋で飲むこと、作曲(ボカロP)、ダイビング。
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