- ホーム >
- 基本操作 >
- パワーポイント(PowerPoint)編 >
スライドの作成(8) ~ グラフの作り方 ~
これまでスライドマスタを中心に、PowerPointの仕組みを理解しつつ、ある程度の操作スキルを身につけてきました。
すでに、もう簡単なスライドであれば難なく作成できるほどのレベルに達していると思います。それだけ、PowerPointは「やさしい」アプリケーションです。
とは言うものの、なかなか奥が深いのがPowerPointで、スライド作成の基本的ルール で解説したとおり、スライドの良し悪しというのは、それを「見た人」の判断がすべてだからです。
わかりやすいスライドを作ることがもっとも大切なことですが、次に意識すべきことは、
注意を惹きつけるスライドにする
ということも重要です。要は「目立つ」スライドを意識して作る必要があるのです。
いくらわかりやすいスライドを並べても、ダラダラと単調にスライドショーが流れて行ったのではメリハリがなく、結局、退屈なスライドになってしまうかもしれません。
そこで、必要になってくるのは、
アクセントをつける
ことです。これがまた結構奥深いものですが、途中で写真を見せてみたり、アニメーションを使って動きのあるスライドにしてみたりと、見る人の視点に変化を与えるわけです。
本項からは、こういったある意味、応用的な機能について学習していきたいと思います。
さて、本項のタイトルにもあるように、グラフの挿入がどうしてアクセントになるのかと思われるかもしれませんが、これも先述のとおり、グラフで説明する場合、文章をダラダラと入れずに、グラフだけをドーンとスライドに貼り付けたほうが効果的だからです。
強調したい部分だけを強調した、わかりやすいグラフひとつでいいのです。それだけを見せるほうがインパクトがあり、アクセントにもなります。
つまり、グラフはサブ的な資料ではなく、PowerPointでは主役になるのです。そのため、
グラフは書式変更してアクセントを付ける
のが基本です。例えば下図のグラフはどうでしょうか?
これは、ExcelのグラフをPowerPointに貼り付けたイメージです。
そのまま貼り付けただけで何もしていませんが、PowerPointは、適用しているテーマに合わせて、Excelのグラフの書式を自動的に調整してくれます。
そのため、グラフの配色やフォントサイズなど、背景と一致して馴染んでいますが、そのために注意を惹きつけるというインパクトがありません。
一見すると背景と同化していて、一体何が言いたいのかわからないグラフです。
また、後で詳しく解説しますが、グラフを「画像」として貼り付けると、下図のようにまさにExcelのグラフがそのまま貼り付いた感じになります。
これは見やすいかもしれませんが、画像として貼り付くために、フォントサイズや色の調整などができません。では、下のグラフはどうでしょうか?
文字サイズやグラフの色を変更し、強調したい部分の色を明るい色に変更しています。
こうすると、口で説明しなくてもひと目見ただけで何が言いたいのか理解できます。「56-60」歳が多いということを主張したいのだと誰でも理解してくれるでしょう。
このように、文字のスライドの途中にグラフだけのスライドを混ぜると、それだけで単調さがなくなります。
したがって、大切なことは、
グラフを背景や文字に埋もれさせない
ということです。
グラフのスライドに文章を入力するのは必要最低限にとどめましょう。説明は「口」ですればよいし、大切な文章であれば次ページに書けばよいのです。
その意味では、このスライドは、背景やフッター、ロゴが不要です。背景やデザインに合わせすぎてインパクトがないグラフや、文字やグラフを詰め込みすぎて小さいグラフになってしまっては何の効果もありません。スライド枚数はいくら増やしても構わないのです。
では、実際にグラフを挿入してみましょう。
PowerPointでは、グラフをExcelのようにイチから作成できる機能もありますが、そういう機能はExcelの専売特許であり、
グラフはExcelからコピーして貼り付ける
のが一般的です。(Excelのグラフ作成については、グラフの作成(1) を参照してください)
まずはExcelで下図のような表を作ってグラフ化してみてください。
このグラフをPowerPointに貼り付けます。
貼り付け方は簡単で、Exvelのグラフを右クリック等で「コピー」して、プレースホルダーを選択した状態で「貼り付け」するだけです。すると、前述のようにグラフが書式調整されて貼り付きます。
この貼り付いたグラフの書式を変更していくわけですが、その前に、そもそも「貼り付け方」にも種類があることを知っておきましょう。
Excelのグラフをコピーして貼り付けるとき、右クリックメニューには下図のように3通りのアイコンが表示されます。つまり、貼り付け方が3パターンあるということです。
この時、グラフを作成したExcelを閉じた状態で右クリックすると、下図のようにアイコンが3つ、開いた状態で右クリックするとアイコンが5つ出てきます。詳しくは後述しますので、まずは3つのパターンから学習します。
一番左のアイコンが、デフォルト(初期設定)の貼り付け方法になります。
何も意識しないで(アイコンを選択しないで)貼り付けるとこの形式で貼り付きます。これは「貼り付け先のテーマを使用」する方法になります。
文字どおり、PowerPoint側のテーマやスライドマスタで設定した書式に合わせて、ある程度グラフの書式を調整させた状態で貼り付きます。
次の中央のアイコンは「元の書式を保持」して貼り付ける方法です。つまり、Excel側のグラフの書式が適用になります。
最後に一番右のアイコンは「図」として貼り付ける方法です。前述のとおり、写真と同じ画像としてグラフが貼り付きます。
これら3つの貼付け方法の違いは、こうした書式の違いのみならず、
グラフの数値を変更できるかどうか
がもっとも重要なところになります。
前者2つ「貼り付け先のテーマを使用」「元の書式を保持」は値を変更できますが、「図」で貼り付けると値を変更することができません。
いわば「図」の場合は、画像としてグラフを写真に撮って貼り付けたイメージですので、基本的に大枠のサイズ変更程度しかできません。
では、値をどのように変更するのかというと、貼り付けたグラフを選択した状態で「デザイン」タブの「データの編集」ボタン、もしくはグラフ上で右クリックし、メニューから「データの編集」を選択します。
上図のボタンなら上半分、右クリックメニューなら矢印ボタンをクリックすると、「データの編集」か「Excelでデータを編集」かを選べるようになっています。
これらは基本的には同じことですが、「データの編集」で開くと、下図のようなPowerPointの画面とは別のExcelのウィンドウが立ち上がります。
対して「Excelでデータを編集」を選択すると、同じようにExcelが立ち上がります。
両者の違いについては、「データの編集」のExcel画面は、元のExcelとは異なるExcelをPowerPointが作り出して表示しているイメージです。
ただし、下図にあるように、データがリンクしているので元のExcelを開いているのと変わりません。
このExcelの値を変更すると、PowerPointのグラフも変化します。そして、元のExcel側もリンクされているので変更値が反映されます。
このように、グラフの値を変更したい場合は、そのグラフの元となっているExcelの値を変更することでグラフに変更を適用することができます。
また、セルの値を変更してこのシートを保存しないで閉じた場合は、元のExcelのほうに変更が適用されません。こうすれば、PowerPoint側だけで値を変更することもできます。
対して「Excelでデータを編集」は元のExcelを探しに行ってくれて、そのExcelを直接開きます。
そのため、元のExcelを直接編集していることになります。値を変更するとPowerPointのグラフも変化します。
ただし、こちらのExcelでも、セルの値を変更してこのシートを保存しないで閉じた場合はExcelのほうに変更が適用されません。同じようにPowerPoint側だけて値を変更することができます。
と言うことは、どちらを選択しても同じということになります。なかなかわかりにくいなところですが、結局のところどちらを選択しても問題ありません。
むしろ、注意しなければならないのは、逆のパターンの方です。
どういうことかというと、
通常であれば、Excelの値を変更してもPowerPointには変更が反映されない
ということです。
つまり、これまではPowerPointからExcelを呼び出しに行っていたので、Excelで変更した値をPowerPointが受け取ることができていました。
ところが、PowerPointから呼び出さないで、通常どおりExcelファイルを開いて値を変更した場合は、PowerPointとリンクされません。
Excelの値が自動でPowerPointに反映されるわけではない
ということを覚えておいてください。
あくまで、PowerPointから「データの編集」をクリックすることでExcelと連動してPowerPointに値が反映されてきます。
これは、よく考えると当然のことで、基本的にPowerPointのグラフはExcelを利用するため、すべてリアルタイムに値が反映し合ってしまうと、そのほうが混乱を招きます。
そもそも、PowerPointのグラフでリアルタイムの値を反映させる必要性はあまりなく、逆にデータが自動的にコロコロ変わるほうが好ましくありません。
ただし、このことを知っておかないと、大事なプレゼンの値が違っていたということが起こり得ます。この点はよく覚えておいてください。
では、Excelの値を反映させようと思ったら、毎回「データの編集」からExcelを呼び出さなければならないのかというと、じつは簡単な方法があります。
グラフを選択した状態で、「デザイン」タブの「データの更新」ボタンをクリックします。
すると、その時のExcelの最新データが取り込まれます。つまり、「データの編集」もしくは「データの更新」というアクションによってリンク先のExcelを探しに行ってくれるというわけです。
これは、Excelを開いていなくても値を反映させることができます。
なので、元データとなるExcelを削除したり移動したりすると、当然のことながらデータは更新されません。その場合は下図のようなエラーメッセージが表示されます。
このように、ExcelのグラフをPowerPointに貼り付ける場合、「図」以外の方法で貼り付けると、Excelとリンクした状態となります。
しかし、前述のように、PowerPointにはさらにもう2通りの貼り付け方があります。
ここからは多少ややこしいので、応用編になるかもしれませんが、知っておくと、よりグラフ作成に対する理解が深まると思います。
今度は、Excelのグラフをコピーして、Excelを開いた状態のまま「貼付けのオプション」を表示させてみましょう。(通常はこの操作になります)
すると、右クリックメニューのアイコンが下図のように2つ増えています。
左の2つのアイコン(つまり、これまで学習したアイコン)と図柄はほぼ同じですが、「鎖」の絵が付いています。これはデータの「リンク」を意味しています。
おや?と思われるかもしれません。そのとおりです。
これまでの貼り付け方法もリンクだったのですから、この「鎖」付きのアイコンこそがこれまでに学習してきた貼り付け方法なのです。つまり、この鎖アイコンのほうが「貼り付け先のテーマを使用」と「元の書式を保持」に変わっているのです。
そして、「鎖」のないアイコンの方にカーソルを持っていくと、下図のように、「貼り付け先のテーマを使用しブックを埋め込む」と表現が変わっています。(その隣のアイコンは「元の書式を保持しブックを埋め込む」になっています)
これはどういうことかというと、PowerPointにExcelのブックを埋め込むという意味です。
つまり、
ExcelファイルそのものをPowerPointに取り込む
ということです。
したがって、違いは、「データの編集」をクリックしたときに、リンク先のExcelを探しに行くか、埋め込んだExcelを呼び出すかの違いになります。
Excelのブックを埋め込んでおくと、元データのExcelを削除しようが移動しようが関係ありません。「データの編集」をクリックすると埋め込んだExcelが常に呼び出されます。(どちらの編集を選択しても埋め込んだExcelが直接開きます)
そして、「ブックを埋め込む」で貼り付けたグラフの場合、「データの更新」ボタンが選択できなくなります。
この場合、元のExcelとリンクしているわけではなく、Excelのコピーを取り込んでいるので、元のExcelとは別物として考えなければなりません。
ややこしいですが、Excelを開いた状態で、何も意識しないで(アイコンを選択しないで)貼り付けると、この形式で貼り付きます。
なので、通常、Excelのグラフを貼り付けるとブックが埋め込まれていることになります。「データの更新」ボタンがグレーアウトして押せなければ、ブックが埋め込んであると思ってください。
では、少しだけグラフの書式変更をしてみましょう。基本的な操作はExcelと同じです。(詳しくは、Excel編の グラフの書式設定とグラフ印刷 を参照してください)
まずは、Excelのグラフを「貼り付け先のテーマを使用」で貼り付け、前項で学習したとおり、フッターと背景を非表示にします。
グラフと、タイトルのプレースホルダーのみになりました。
タイトルのプレースホルダーは、何も入力しなければスライドショーで表示されないのでこのままでもかまいませんが、ないほうがすっきりする場合は、「Delete」で削除しましょう。
そして、グラフを拡大してレイアウトを調整し、目盛や項目名、タイトルのフォントサイズを大きくします。
フォントサイズは、該当する部分を選択して「ホーム」タブより変更できます。
次に、中央のエリア(プロットエリア)の背景を、透明色から「薄い緑」に変更します。プロットエリアを選択して、右クリックメニューより、任意の色で塗りつぶすことができます。
次に、全体の棒グラフを「灰色」に変更し、さらに「56-60」の棒グラフ部分だけを「ピンク」色に変更します。
棒グラフ部分をクリックすると、グラフ全体が選択されます。この状態で、まずすべてのグラフを「灰色」に変更します。同様に右クリックメニューから簡単に塗りつぶすことができます。
そして、「56-60」部分のみ選択(もう一度クリックすると該当の部分だけが選択されます)して、色を「ピンク」色に変更します。
今度は、さらにグラフの「値」を表示させます。
棒グラフを選択した状態で、右クリックメニューの「データラベルの追加」より、「データラベルの追加」を選択すると、値(データラベル)が表示されます。
または、「デザイン」タブの「グラフ要素を追加」ボタンから「データラベル」、ここでは「外側」を選択すると、同様にグラフに値が表示されます。
データラベルが表示されたら、フォントサイズを調整して完成です。
いかがでしょうか?
テーマと雰囲気がガラッと変わり、アクセントになりつつ、一見して意図が伝わるグラフになったと思います。
これはあくまで一例です。もっともっといいグラフはいくらでも作成できます。シンプルでなおかつスタイリッシュなグラフ作成を目指してください。
更新履歴
- 2013年5月10日
- ページを公開。
- 2017年12月16日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2020年1月30日
- PowerPointのバージョンを2016に変更。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- 文献
- なし
- ウェブサイト
- なし
- 管理人のつぶやき
- Twitterのフォローお願いします!