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FTTH・LTE・WiMAX・5Gとは|ブロードバンドの種類

  • 著者:YAMANJO
  • 公開日:2008年7月27日
  • 最終更新日:2025年5月27日

ブロードバンドとは何か、ブロードバンドの種類と移動体通信の種類について理解していきましょう。

ブロードバンドとは

前項でインターネット接続の種類について学習しました。PPPを利用してプロバイダで認証を行う「PPPoE」と回線IDによる事前認証によってスムーズな接続を行う「IPoE」です。

こうした通信規格ではなく、本項では有線または無線といった物理的なインターネット接続の規格について学習していきたいと思います。

MMD研究所が2024年12月に実施した調査によると、光回線67.1%、CATV(ケーブルテレビ)回線12.4%、ホームルータ9.9%、モバイルルータ4.4%で、多くの方が光回線を利用されていることがわかっています。

つまり、インターネットへの物理的な接続方法は有線でも無線でも複数あり、その中から利用環境にあわせて適切な方法を選択することになります。

具体的な選択方法は、多くの人が光回線を利用しているように、居住している自治体などが敷設する光回線を利用するケース、マンション等で加入しているケーブルテレビの回線を利用するケース、回線自体の引き込みをやめて無線のホームルータやモバイルルータを利用するケースなどがあります。

これらの詳細は後述しますが、複数の接続方法を有するケースも多くなっています。では、その「決め手」となるのは何かと言うと、やはり「速度」を重視する傾向が強くなっています。

インターネット初期の「ダイヤルアップ接続」では、単純な画像が表示されるのにも数十秒かかるほどの低速で、現在のように動画を見たり音楽をダウンロードすることは困難でした。

ダイヤルアップ接続は、固定電話のモジュラージャックとパソコンを接続し、電話回線のアナログ信号をデジタル信号に変換するモデムという機器を中継して、プロバイダに電話をかけて(ダイヤルアップ)インターネットに接続する方法でした。

そのため、インターネットに接続している時間分の電話料金が発生していました。速度は非常に遅く、一般のアナログ回線で56Kbps、ISDN(デジタル回線)でも64Kbps程度でした。また、悪意のあるサイトからダイヤルQ2(有料情報サービス)などに電話をつながれ、膨大な電話料金が発生したりといったトラブルも起こりました。

転送速度を示す「bps」は、LAN・WANとは で学習のとおり「bits per second」の略になります。 1秒間に転送できるデータ量を表し、1Gbpsでは1秒間に1Gのデータをやり取りすることができますが、B(バイト)ではなくb(ビット)であることに注意が必要です。

56kbpsの速度では、一般的な5MB程度の音楽ファイルをダウンロードするのに約12分半かかる計算になります。計算方法については、パソコン関係で使われる単位 で詳しく学習しますが、5MBをビットに変換して約41,943,040ビット、56kbpsを56,000bpsとすると「41,943,040÷56,000=749.34秒」になります。

テキストだけのウェブページを表示するのもスムーズではありませんでした。そのため、通信速度の向上と利用料が固定された常時接続の2つのサービスが求められるようになります。

こうして、インターネットの高速大容量化と常時接続を実現した、

ブロードバンド

というサービス形態が一般化していきます。

総務省の定義では、1.5Mbps以上をブロードバンドとする基準になっていたようです。現在の感覚では、1.5Mbpsというと非常に低速で、ブロードバンドという呼び方もほとんどされなくなりましたが、2000年代前半までにブロードバンドは広く普及しました。

総務省による2022年の調査結果によれば、固定ブロードバンドの世帯普及率は約90%に達しています。(1.5Mbpsを基準としていたわけではありません)

逆に低速のインターネットを「ナローバンド」と呼びますが、残り10%がナローバンドというわけではなく、モバイル通信のみを利用している世帯が主になります。

現在、ナローバンドはISDNや電話回線によるダイヤルアップ、PHS回線などのサービスがほぼ終了している接続方法に限られています。つまり、地域や設備などの制約による特定用途の利用のみとなっています。

そのため、あらためてブロードバンドの必要性を説く必要はありませんが、どのようにブロードバンドが誕生し、現在どのようなサービスが展開されているのかを知っておくことは非常に有益なため、本項でしっかり理解しておきましょう。

ADSL

ダイヤルアップ接続の次に普及した、最初のブロードバンド方式です。「エーディーエスエル」と読み「Asymmetric Digital Subscriber Line」の略で「非対称型デジタル加入者線」という意味になります。

何が「非対称」なのかというと、データの送信と受信の転送速度になります。

この場合の送信を「上り」、受信を「下り」と表現しますが、

上りの転送速度よりも下りの転送速度の方が速い

通信方法になります。

なぜ非対称なのかというと、一般的にインターネットを利用する場合、送信データより受信データの方が圧倒的に多いからです。

例えば、ウェブサイトを閲覧する場合、上りはHTTPリクエスト(ウェブページの転送要求)程度ですが、下りはウェブページに含まれる画像や文字データといったコンテンツすべてになります。つまり、非対称のほうが理にかなっていたわけです。

どのように非対称に設定するのかについては後述しますが、上りと下り転送速度が同じ(対称)通信方式として「SDSL」や、ADSLをさらに高速化した非対称通信の「VDSL」などの方式もあります。

これらに共通する「DSL」は「デジタル加入者線」を意味します。加入者線とは、利用者の自宅とNTTなどの電話局をつなぐ銅線で、電話回線を意味します。つまり、既存の電話回線を使ってデジタル通信を行う技術になります。

ADSLを含め、SDSLやVDSLなどのDSL通信の総称を「xDSL」と言います。xDSLは、光ファイバーが普及する前のブロードバンドの主力技術になります。

このように、既存の電話回線でインターネットへの常時接続と高速大容量化を実現するxDSL(主にADSL)は、まさに爆発的に普及していきました。

数Mbps~数10Mbpsという速度でしたが、それでもダイヤルアップ接続の10倍の速度であり、かつ定額料金で常時接続を可能にした画期的なサービスだったからです。

では、なぜダイヤルアップ接続と同じ電話回線を使用して10倍以上の速度が出せたのかというと、同じ電話回線でも電話とインターネットで使用する帯域を分けたからです。

ダイヤルアップ接続では、電話回線の電話で使用する「音声帯域」をそのまま拝借してインターネットに利用していました。つまり、インターネットへの接続は「電話」をかけることと同じだったのです。ゆえに「ダイヤルアップ」と呼ばれています。

そのために電話料金も接続時間分(通話時間分)かかってしまうことや、インターネットを使用している間は電話が使えないなどの問題がありました。

一方、xDSLでは、電話回線の音声以外の帯域を使うことで電話と分離し、高速大容量と常時接続を可能にしました。

電話では、約300Hz~4KHzの間の帯域しか使われていませんでした。これは、人の声がこの周波数帯域に収まっているためで、それ以上の高い周波数は人間の耳では聞き取ることができません。

xDSLでは、この未使用の高周波帯域(4KHz以上)を利用することで、電話の利用に影響を与えることなく、高速なインターネット通信を実現しています。

具体的には「スプリッタ」という機器を接続して周波数帯域を分離します。

電話回線の帯域イメージ

また、さらに空の帯域を上りを下りで分離します。ADSLの場合は下りの方が速度が速いため、下りの方が周波数帯域を広くとっています。

接続の流れは、電話のモジュラージャック → スプリッタ → モデム → パソコンとなります。 スプリッタで周波数帯域を分離し、モデムでデジタル通信に変換します。

しかし、xDSLにも欠点がありました。

もうおわかりのとおり、アナログ回線であるということです。アナログの特徴は、アナログデータとは で学習のとおりですが、雑音(ノイズ)の影響を受けやすく、徐々に品質が劣化していきます。

そのため、電話局(またはADSLの基地局)から離れれば離れるほど速度も低下し、電話局から数kmの範囲までしか利用できないという制約がありました。

また、このように未使用の高周波帯域を利用してデジタル信号を流す方式のため、ISDNというデジタルの電話回線を利用していた場合は、xDSLが利用できませんでした。つまり、アナログ回線でなければ利用できない方式だったということです。

NTT東西のADSLサービスは、2023年3月に完全終了しています。

FTTH

xDLSは広く普及しましたが、やはりそれでも数Mbps程度の速度であり、動画やクラウドサービス、オンラインゲームといったデータ量の多いコンテンツが普及するにつれて、通信速度や安定性に限界が見えるようになりました。

そして、2010年代に入ると本格的に光ファイバーへの移行が進んでいきます。

光ファイバーは、インターネットだけではなく通信インフラとして、特に過疎地域の自治体が積極的に敷設を進めたこともあり、現在では光回線が67.1%もの家庭に引き込まれています。

電話回線は銅線でしたが、光ファイバーはその名のとおり「光」を通すケーブルで、銅線よりもずっと細く、軽量で高性能かつ長距離通信に優れています。

光ファイバーの特徴は、ケーブルの中に全反射の原理で光を閉じ込め、光が外に漏れないようにします。全反射の原理とは、光がすべて反射して中に跳ね返る現象のことです。つまり、光は反射を何度も繰り返しながらケーブルの中を進んでいきます。

具体的に言えば、中心の「コア」と呼ばれる部分を「クラッド(外層)」が取り囲む構造になっており、この境界面で光を全反射させることで信号を伝送します。

このことにより、光が外に逃げないので、非常に長距離でも減衰が少なくノイズの影響を受けにくくなります。中継器なしでも数10kmの通信が可能になっています。ほぼ光速に近い速度で転送できるため、非常に高速です。データの「0」と「1」は光の強弱や変調によって表現しています。

また、光は銅線を流れる電気信号や無線の電波に比べて、広い周波数帯域を持つため、大容量のデータを転送することが可能になります。さらに、波長(色)の異なる光を使うことで、色ごとにデータを並行して送ることも可能です。

こうして、現在でも主流として使われるほど、圧倒的な速度と大容量化を実現することができます。そのため、インターネットのみならず、地上波テレビやローカルテレビ放送、IP電話などもまとめて扱うことができ、通信速度も1Gbps~数10Gbpsを実現しています。

光ファイバーを基盤として、リモートワークやオンライン授業、遠隔医療、仮想空間での行政サービスなどによって、都市でも山間部でも誰もが同じサービスを享受できる社会を目指すという構想が政府によって進められてきました。

このように、家庭まで光ファイバーを直接敷設する通信方式を

FTTH(エフティーティーエイチ)

と言います。

FTTHは「Fiber To The Home」の略ですが、単に光ファイバーを家庭に引き込むことをFTTHと言う場合が多いです。

移動体通信システム

FTTHと同様に、スマートフォンやモバイル端末の普及によって、無線によるインターネット接続も進化してきました。

無線と言えば「Wi-Fi」が有名ですが、この場合の無線通信とは異なります。Wi-Fiは無線LANの規格であり、前項で学習のとおりインターネット側(WAN側)ではなく、LAN側の通信に使われる規格になります。(無線LANについては、無線LANの仕組み で学習します)

本項で学習する無線の通信は、インターネット接続に使われる無線通信の方式で、スマートフォンからインターネットに接続する方式や、GWのインターネット側の通信方式になります。したがって、基本的にはスマートフォンでインターネットに接続する場面をイメージしてください。

この場合、仕組みは単純で、近くの基地局から無線電波を受けて通信するというものです。衛星電話の場合は、衛星に無線を飛ばすことになりますが、仕組みとしては同じです。

基地局というのは、大手キャリアが設置するアンテナ設備のことです。また、近くというのは移動を前提としているデバイスのため、現在位置にもっとも近い距離にある基地局という意味です。つまり、通信する基地局が一律ではなく動的に変化するということです。

したがって、基地局が近くになければ通信できないことになります。現在では、電波が「圏外」になることはまれですが、逆に言えば、基地局がきめ細かく全エリアをカバーできるように平均的に配置されているということです。

とは言え、こうした設備投資には莫大な資金が必要です。自社で基地局設備を有している会社をキャリアと呼びますが、現在ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社が大手キャリアと呼ばれています。(新興キャリアとして楽天も整備を進めています)

キャリアは「MNO(移動体通信事業者)」とも呼ばれています。NMOは「Mobile Network Operator」の略で、その通称がキャリアになります。

一方、自前の設備を持たない「通信事業者をMVNO(仮想移動体通信事業者)」と言います。MVNOは「Mobile Virtual Network Operator」の略で、MNO(キャリア)の回線を借りて通信サービスを提供する事業者になります。

MVNOは、インフラの整備保守費用などが不要なため、格安プランで契約することができます。ただし、回線を間借りするわけなので、通信帯域の優先度が低く、通信の品質は大手に劣る場合(混雑時間帯に速度が低下するなど)があります。また通信量に制限がある場合も多いようです。

さらにMVNOは、スマートフォン本体は別売りで、契約したサービスの情報などが記録されたSIMカードのみを提供します。このSIMカードを挿すだけで機種を問わずインターネットや通話機能を利用することができます。そのため、基本的に本体のスマートフォンは好きな機種を選ぶ(別途購入)することができます。

かつて、大手キャリアで購入したスマートフォンは、そのキャリアでしか使えない「SIMロック」がかかっていましたが、現在は原則解除可能(2021年以降はSIMロック禁止)になっています。

有名なMVNOには、IIJmio(アイアイジェイミオ)、mineo(マイネオ)、イオンモバイルなどがあります。

ただ、MNOであれMVNOであれ通信の仕組みは同じです。移動中でも途切れることのない通信確保が必要であり、地点地点で通信状態の良い基地局と自動的に接続します。

こうした技術を、

移動体通信システム

と言います。

移動体通信システムも時代とともに進化してきました。この規格が有名な「4G」や「5G」と呼ばれる規格です。「G」は「Generation(世代)」の意味で、移動体通信システムの世代を意味します。

また、携帯電話も驚くべき進化を遂げ、PCと遜色のないスペックを持つスマートフォン全盛の時代となりました。通信規格と携帯電話の世代がセットで更新されてきたことから、移動体通信システムと携帯電話の世代は同義で使われる場合があります。

まず「1G」は、1980年代にアナログの自動車電話やショルダーホンと呼ばれる大型の携帯電話の規格として登場しました。

次の「2G」は、1990年代にデジタル方式となった通信規格で、デジタル化によってウェブやメールが利用可能となり、小型の携帯電話が広く普及しました。「iモード」や「EZweb」といったインターネットサービスが開始されています。

そして「3G」は、2000年代に国際機関ITUが標準化した規格で、IMT-2000(アイエムティーニセン)とも呼ばれます。3Gから規格が国際標準となり、携帯電話が世界中で使えるようになりました。これは、現地のネットワークを利用して通話やデータ通信ができる「国際ローミング」と呼ばれる機能ですが、規格が標準化されたことで可能になりました。

ただ、IMT-2000という規格が定められてはいるものの、実際に認められた内部規格は5種類以上もあり、厳密な意味では統一された規格とは言えませんでした。ドコモとソフトバンクは「W-CDMA」、auは「CDMA2000」という規格が採用されています。

それでも通信速度は劇的に進化し、384Kbpsから最大100Mbps程度の通信が可能となりました。

通信速度にこれほど開きがあるのは、3G世代の中に3.5世代や3.9世代と呼ばれる中間世代が存在するためで、同じ3Gに含めるかどうか異なる見解があったりします。実質的な3Gでは、最大で数Mbps程度の速度になります。

しかし、現在では4Gの人口カバー率がほぼ100%を達成しており、1G~3Gの通信方式は山間部を含めて日本国内では原則として廃止になっています。

そして、現在に通じる「4G」が登場します。

4Gは、2010年にITUが認定したIMT-2000の後継「IMT-Advanced」に準拠した規格の総称です。3Gから規格の幅が広くなり、複数の規格が世代に含まれるようになっています。そのため、4Gの中にも個別の規格が存在することになります。

4Gになると、電波によるデータ伝送技術の進歩と、周波数帯域を広く使うことができるようになり、数10Mbpsから最大1Gbps程度の速度を実現しました。有線接続と比べても一般的な利用ではほとんど差を感じないほどの速度と安定性を実現しています。

LTE

4Gの主流規格で「エルティーイー」と呼ばれています。

長らく利用されている有名な規格のため、CMなどで耳にしたことがあると思います。現在、4G通信のほとんどがLTEまたはLTEの後継規格が利用されています。

ただし、LTEは3Gの「3.9世代」として開発された規格になります。LTEは「Long Term Evolution」の略で、3Gを「長期的に進化」させたという意味です。その名のとおり、3Gから4Gへの移行のための橋渡しとして設計された規格だったのです。

したがって、厳密に言えば「IMT-Advanced」の規格が求める水準に達していませんでした。ところが、LTEの普及が進み、すでに大手キャリアがLTEに対応した設備投資を行っており、LTEから新しい4G規格への切り替えは進みませんでした。つまり、LTEからの変更が困難だったわけです。

そしてついに、ITUがLTEや後述するWiMAXについて、IMT-Advancedに完全には達していないものの、技術的に十分に進化しており、4Gと名乗ってよいと声明を出すに至りました。

これにより、LTEが完全な4G規格として認められ、ますますLTEが主流となりました。新しい規格を設計するのではなく、LTEを進化させていく方向になったのです。

2011年には、

LTE-Advanced(エルティーイー アドバンスト)

が発表され、ITUがIMT-Advancedの要件を正式に満たすと承認しました。

LTE-Advancedは、LTEからさらに高速化と効率化をすすめ、最大通信速度が上り100Mbps、下り1Gbpsを達成しています。

こうして、LTE-Advancedは真の4G規格として主流となり、現在の4G回線のほとんどがLTE-Advanced規格になっていますが、多くの場合はLTEとLTE-Advancedを区別することなく「LTE」のまま呼称されています。

LTEを利用したサービスには、ドコモの「Xi(クロッシィ)」(現在はあまり使われていませんが、LTEネットワーク自体は引き続き利用されています)やソフトバンクの「SoftBank 4G LTE」などがあります。現在でもLTE回線は、スマートフォンやモバイルルータ、ホームルータなどで広く利用されています。

WiMAX

LTEと同様に、4Gへの橋渡しとして設計された規格で「ワイマックス」と呼ばれています。

WiMAXは「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の略で、IEEE(アイトリプルイー)という国際機関が標準化した無線通信規格です。IEEEは、Wi-Fi規格を認定している機関です。

先述のとおり、Wi-FiはLAN側の規格であり、WiMAXはインターネット接続の規格になりますが、厳密に言えばWi-Fiは「IEEE 802.11」、WiMAXは「IEEE802.16」で別規格として規定されています。

Wi-Fiは免許が不要な周波数で狭いエリアに限定されますが、WiMAXは専用の周波数で基地局との長距離通信を実現します。

4G回線のほとんどがLTEのため、WiMAXの利用は限定的となっていますが、じつはWiMAXの方が先に登場しました。なぜ、WiMAXの普及が進まなかったのかと言うと、既存のキャリアの3G網と相性が悪かったからです。

WiMAXは、前項までに学習してきたIPによる完全IPベースの通信規格で、通話もIPによるパケット交換方式になります。しかし、それまでの3Gでは、通話に回線交換方式が用いられていました。(回線交換方式については、パケットとルーティング を参照してください)

つまり、既存の回線は音声通話が回線交換方式、データ通信がパケット交換方式という2つの系統に分かれていました。そのため、すぐに切り替えが難しかったことや、そもそもLTEをキャリアが積極的に採用していった経緯があります。

4G以降、キャリアの通信網もすべてIPベースに切り替わり、通話もパケット交換方式が利用されるようになりましたが、通話はキャリアの閉域IP網を利用します。したがって、通話ではインターネットに接続することなく、パケットも暗号化されるため、非常に高いセキュリティが確保されるようになっています。(閉域網については、VPNとは で詳しく学習します)

当時、WiMAXを提供していたのは、ほぼUQコミュニケーションズ1社でした。通話ではなく、ホームルータの提供に力を入れており、WiMAXと言えばホームルータを連想される方が多いと思います。

ホームルータとは、回線引き込み工事が不要で、設置するだけ(置くだけ)ですぐに基地局と通信が可能で、インターネットが利用できる据え置き型のWi-Fiルータになります。(家庭内のホストからルータへの接続がWi-Fiという意味です)

WiMAXも、IMT-Advancedの要件を満たした「WiMAX 2」を発表しましたが、徐々にシェアは減少し、現在ではほとんどLTE-Advancedに切り替わっています。

では、なぜWiMAXを学習したのかと言うと、製品名としてWiMAXが利用されているからです。これは、UQコミュニケーションズ社が通信規格名をそのままブランド名・サービス名として使用していたためです。つまり、多くの人がWiMAXという名称をUQコミュニケーションズ独自のブランド名として認識していたということです。

そのため、現在でも製品名やサービス名として使われており、名称としては残っていますが、実際の通信規格はWiMAXではなく、LTE-Advancedに置き換えられています。

5G

LTEよりもさらに高速大容量化を実現した第5世代の規格です。2020年代から実用化がはじまり、現在進行形の規格です。

5Gの大きな特徴は、使われていない高周波数帯を利用することです。周波数は高くなるほど直進性が高くなるため、障害物に大きく影響されます。詳しくは割愛しますが、ビームフォーミング(電波を特定の方向に集中させて送信する技術)やマッシブMIMO(多数のアンテナを使って多重にデータ送受信を行う技術)といった技術によってそれを克服し、実用化できるまでになってきました。

5Gは、LTEの10倍以上の10Gbps~20Gbpsの超高速通信を実現しています。

また、スマートフォンやパソコンだけでなく、家電や自動車などの様々な「モノ」がインターネットに繋がるIoTの基盤になることを想定しており、無数の機器が接続しても耐えられる設計となっています。(IoTは「Internet of Things」の略であらゆるモノがインターネットにつながり情報交換されるという意味です)

さらに、

超低遅延

という大きな特徴があります。

超低遅延とは、通信のタイムラグが非常に少ないという意味で、例えば4Gまでは会話にタイムラグがある衛星電話で、5Gでは直接会話しているイメージです。

これは非常に重要な意味を持ち、例えば遠隔医療や自動運転などで、遠隔地からリアルタイムで医療ロボットや自動車が操作できることになります。つまり、自動運転や遠隔医療のような「1ミリ秒」の遅れも命取りになる場面で本領を発揮する技術と言えます。

このように、5Gの超高速大容量かつ超低遅延通信は、ライフスタイルや働き方が大きく変わる可能性を秘めています。そのため、単に4Gの延長ではなく、各キャリアも5Gの実現のために膨大な投資をしています。

なぜ超低遅延通信が可能になったのかと言うと、各キャリアがネットワーク設備を大きく見直し、遅延要因を1つずつ潰していったからです。したがって、4Gとは設備や装置の構造がまったく異なる方式になっています。そのため、完全な5Gを実現するには、4Gの設備が流用できないことになります。

しかし、5Gの電波を利用しつつ通信制御は4G設備に依存する仕組みで、各キャリアは5Gのサービスを開始しています。この方式では、真の5Gの性能を発揮することはできません。

こうしたハイブリッド方式をNSA(Non-Stand Alone)方式、完全5GをSA(Stand Alone)方式と言いますが、2025年現在、各キャリアともNSA方式が主流で、SA方式を利用できるのは都市部の一部エリアに限られているようです。

ラストワンマイルとは

さて、このようにブロードバンドは20年ほどの間に劇的に進化してきました。

今後は有線のFTTHと、無線の5Gを中心としたIoT時代を迎えることになります。

FTTHによる光ファイバーの敷設には、よく「ラストワンマイル」という言葉が使われました。回線事業者や自治体は「ラストワンマイル事業」として各戸への光ファイバーの引き込みを進めたのです。

ラストワンマイルとは「残り1マイル」という意味ですが、これは、契約するプロバイダまたはキャリアの基地局から家庭までの区間を意味します。つまり、インターネットから見れば1マイルほどの区間を整備していくという意味です。

なぜこの区間が重視されたのかと言うと、逆にこの区間以外は高速大容量の通信が可能だったからです。もともとプロバイダ同士の通信や、キャリアの基地局から基地局への通信のような膨大なデータが流れる基幹ネットワークでは、すでに光ファイバーなどが整備されており、海外とも光海底ケーブルで繋がっています。

こうした通信事業者間の基幹ネットワークのことを、

バックボーン

と言います。

したがって、バックボーンはすでに高速大容量通信が確立しており、ブロードバンドが必要だったのは、家庭までの僅かな「ラストワンマイル」だけだったということです。

4G以降、一部の離島や山岳部を除いて、ラストワンマイルはほぼ解消しつつあります。SA方式の5Gが日本中に浸透する頃には、世の中が大きく変わっているかもしれません。

更新履歴

2008年7月27日
ページを公開。
2009年5月17日
ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
2018年1月30日
ページをSSL化によりHTTPSに対応。
2025年5月27日
内容修正。

著者プロフィール

YAMANJO(やまんじょ)

経歴
岡山県出身、1980年生まれ(申年)の♂です。現在、総合病院で電子カルテなどの情報システム担当SEとして勤務。医療情報学が専門ですが、ネットワーク保守からプリンタの紙詰まり、救急車の運転手までこなしています。
医療情報技師、日本DMAT隊員。ITパスポート、シスアドなど、資格もろもろ。
趣味は近所の大衆居酒屋で飲むこと、作曲(ボカロP)、ダイビング。
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