ウェブページの仕組み(4) ~ プラグインとは ~

術の進歩によって、ウェブサイトはテキストのみならずマルティメディアコンテンツを取り扱うようになり、現代のウェブサイトには動画やサウンドが溢れています。

こうしてウェブで表現したいコンテンツやサービスが増えてくると、従来のブラウザの機能だけではそれらを表現しきれなくなってきます。そこで、それらを実現するためのプログラムが開発され、ブラウザに追加で組み込むかたちで表現されるようになりました。

このようなプログラムのことを、

プラグイン

と言います。

プラグインは本来、Netscape Navigatorというブラウザの追加プログラムのことでしたが、他のブラウザにも適用されるようになり、現在では、

アプリケーションソフトに機能を追加するためのプログラムやソフトウェア

を指す広い意味で使われています。

つまり、アプリケーションソフトすべてを対象とする用語となり、比較的小さいプログラムを指す場合が多くなっています。したがって、基本的にプラグインのみでは動作せず、追加する本体のソフトウェアのもとで動作します。

また、特定のアプリケーション用の追加モジュール(プログラム)を「アドイン」「アドオン」と呼ぶため、プラグインも同義語で使われる場合があります。

ただし、後述するプレーヤーソフトなどは、そのソフトにさらにプラグインを追加できるなど、技術の進歩とともに明確な定義が難しくなっています。

ではプラグインというものを理解するために、プラグインの歴史を簡単に知っておきましょう。

先述のとおり、プラグインが存在する代表的なソフトウェアは、ウェブブラウザです。

現在、Microsoft社の標準ブラウザは「Microsoft Edge」になっていますが、2008年頃の「Internet Explorer」が全盛の時代には、世界シェア8割という一強のブラウザでした。

このInternet Explorer上で様々な表現を可能にするために開発されたプログラムがプラグインです。

当時、Internet Explorerの機能拡張は「ActiveX(アクティブエックス)」というWeb関連技術の一部である「ActiveX コントロール」とされていて、プラグインという用語を使用していませんでした。

詳しくは、ActiveXとは で学習しますが、例えば、ActiveXコントロールによってInternet Explorer上で動画や音楽を再生したり、ExcelやWordファイルが編集できるようになります。

つまり、個々のプログラムの名称ではなく、こうした機能追加技術の総称を「ActiveX」と呼んでいました。プラグインとActiveXが混在してしまいますが、広い意味で「ActiveX=プラグイン」と言えます。

Internet Explorerでは、デフォルト(初期)設定でActiveXが有効になっており、ActiveXが利用されているウェブサイトでは自動的にプログラムが追加されます。

すなわち、ウェブサイト作成者の側からすると、ユーザーがあえてActiveXをブロックしない限り、通常のブラウザの機能を越えた演出や仕組みをユーザーに提供できることになります。

こうしてブラウザへのプラグインは一般的となり、ウェブサイト上からさまざまな機能を提供できるようになりました。

ところが、この仕組みは当然ながら悪用されることになります。

通常のプラグイン(ActiveXコントロール)はシステムに悪影響を与えるものではないので、インストールしても何ら問題ありません。しかしこの仕組みを悪用して、不正なプログラム(コンピュータウイルスなど)をインストールさせるのです。

そのため、現在ではActiveX関連の脆弱性が指摘されているInternet Explorerのサポートは終了しており、ActiveXも非推奨の扱いとなっています。

しかし、ActiveXの仕組みは長年利用されていて、多くのシステムが依存しているなどの影響から、現在でもInternet Explorerが利用されているケースもあります。

いずれにしても、プラグインの仕組みはプログラムのインストールです。

ウェブサイト上でプラグインのインストールを促された場合などは、

そのプラグインを提供しているサイトや企業が信頼できるか確認すること

が必要です。

では次に、代表的なプラグインを紹介します。

ブラウザのプラグインだけでなく、単体のソフトウェアとして利用されるようになったものもあります。すでにサポートが終了しているプラグインもありますが、歴史上の代表的なプラグインとして知っておきましょう。

Flash Player(フラッシュ プレーヤー)

アドビシステムズ社が開発した動画やゲームなどの規格である「Flash」コンテンツを再生するためのソフトウェアです。ブラウザに追加することで、Flashムービーをブラウザ上で再生することができます。

Flashコンテンツは簡単に作成することができ、動作が滑らかで画像がピクセル画像ではなくベクトル画像であるため、拡大縮小しても画質が乱れず、ファイルサイズが小さいという特徴があります。

また、画像の中で特定の位置を指定して個別のリンクを設定できる「イメージマップ(クリッカブルマップ)」のような動作を設定することができます。

Flashは、扱いやすい動画規格とプレーヤーとして広く普及していましたが、スマートフォンでの対応がなかったことや、セキュリティ上の脆弱性が発見され、2020年でサポートを終了しました。

現在ウェブ上の動画再生は、 ウェブページの仕組み(2) で学習したHTML5に移行しています。

Shockwave Player(ショックウェーブ プレーヤー)

アドビシステムズ社が開発した動画やゲームなどの規格である「Shockwave」コンテンツを再生するためのソフトウェアです。

Flashよりも多機能でグラフィカルなゲームの制作などに利用されていましたが、取り扱いが容易なFlashの登場によって利用率は下がっていきました。

Shockwave Playerも2019年にサポートを終了しています。

Adobe Reader(アドビ リーダー)

旧名は、Adobe Acrobat Reader(アドビ アクロバット リーダー)で、アドビシステムズ社が開発している「Adobe Acrobat」コンテンツ(主にPDFファイル)を閲覧するためのソフトウェアです。

PDF文書の作成や編集には「Adobe Acrobat」が、表示には「Adobe Reader」というソフトウェアが必要になります。

PDF文書は、機種やOSなどの環境に左右されずに同じレイアウト、同じフォントで文書を表示することができます。(また、容易に編集することもできないという公文書的要素があります)

Adobe Readerは、現在でもバージョンアップを続けており、現役で利用されています。

QuickTime Player(クイック タイム プレーヤー)

アップル社が開発したマルチメディア形式である「QuickTime形式」を扱うためのソフトウェアで、QuickTime形式(拡張子は「.mov」)の動画や音声を再生するために必要なプレーヤーソフトです。(拡張子について詳しくは、拡張子 を参照してください)

大きな特徴は、ファイルをダウンロードしながら同時に再生可能な「ストリーミング」方式に対応していることです。そのため広く普及していましたが、2016年に深刻な脆弱性が発見され、Windowsのサポートを終了しました。

ただしこれは、Windows用のQuickTime Playerのサポートが終了したということであって、MacなどのApple製品では現在でも利用されています。

そのため、iPhoneなどで作成したQuickTime形式の動画がWindowsで再生できないといったトラブルが起こっています。

Real Player(リアル プレーヤー)

リアルネットワークス社が開発したマルチメディア形式である「Real Media形式」を扱うためのソフトウェアで、RealMedia形式(拡張子は「.rm」)の動画や音声を再生するために必要なプレーヤーソフトです。

Real Playerは、RealMedia形式だけでなく、MP3やQuickTimeなど50以上のメディアファイルに対応しており、Real Playerも「ストリーミング」方式に対応しています。

Real Playerは、現在でもバージョンアップを続けており、現役で利用されています。

Windows Media Player(ウィンドウズ メディア プレーヤー)

マイクロソフト社が提供するマルチメディアコンテンツ再生のソフトウェアで、数多くのメディアファイルに対応しています。

文字どおりWindowsに標準搭載されていたため、Windowsユーザーの多くが利用するプレーヤーでしたが、Windows7に搭載されたバージョン12以降はバージョンアップが止まっており、現在ではあまり利用されていません。

またWindows10からは、搭載されてはいるもののデフォルトの動画再生ソフトでなくなるなど、ユーザーにとってわかりにくいソフトになってしまいました。(Windows10の既定のソフトは「映画&テレビ」)

しかし、Windows11からまた「Windowsメディアプレイヤー」というプレーヤーが標準搭載されています。ただ、これまたややこしい話ですが、旧来の「Windows Media Player」とは別物のソフトウェアになっています。

このように、メディアファイルを取り扱うアプリケーションソフトは「メディアプレーヤー」と呼ばれ、様々なファイル形式に対応している場合がほどんどです。

そのため、プラグインとしての機能よりもマルチプレーヤーとしてのイメージが強く、混乱するかもしれませんが、インターネット上でコンテンツを再生するためのプラグイン的側面があるという意味で本項で紹介しました。

ここ10年ほどの間に、機器の性能が飛躍的に向上し、セキュリティ上の問題も増えてきたことから、当時から生き残っているプラグインは少なくなってしまいました。

当然ながら、この他にも無数のプラグインが存在します。繰り返しますが、プラグインのインストール時にはそれが本当に必要なプラグインなのか、そのサイトは信用できるのかをよく見極めてからインストールすることが大切です。

更新履歴

2009年6月21日
ページを公開。
2009年6月21日
ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
2018年2月1日
ページをSSL化によりHTTPSに対応。
2023年9月7日
内容修正。

参考文献・ウェブサイト

当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。

文献
図解入門 インターネットのしくみ
ActiveXコントロールとは
https://www.liveon.ne.jp/glossary/activex/
Windows11の「メディアプレーヤー」はデザイン性と実用性を兼ね備えたアプリとしての一歩を踏み出す
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/serial/newdefapps/1406655.html