OS(オーエス)の役割
Windows95というOSの誕生によって、それまで知識を持った一部の人のみが扱えていたパソコンが、初心者にも扱いやすい便利なツールに昇格しました。
その理由はいくつもありますが、マウスによる視覚的な操作を行うことができるようになったというのが一番大きな理由です。(Windows95ではじめてこの機能が搭載されたわけではありません)
例えば、アプリケーションソフトを起動するときは「アイコン」(図柄ボタン)をクリックしたり、削除するときは「ごみ箱」にファイルをつまんで入れたり(ドラッグ&ドロップ)するような、ある意味テレビゲーム感覚で操作することができるようになったおかげで、コンピュータの知識を持たない初心者でもパソコンを扱うことができるようになったのです。
この視覚的操作機能のことを、
GUI(ジーユーアイ):グラフィカル ユーザー インターフェース
といいます。
「G」はGraphical(絵画的なようす)を意味し、「UI」はユーザーインターフェース(出入力方式)を意味しています。
「インターフェース」とは、ある部分とある部分の境界のような意味で、通常は接続する機器やケーブルなどの差し込み口やその形状のことを指します。ここでは、コンピュータと人間の境界線、つまり出入力の方式といった意味になります。詳しくは、インターフェース で学習します。
一方、GUIが搭載される以前のOSは、CUI(シーユーアイ):キャラクタ ユーザー インターフェースでした。「C」はCharacter(文字)を意味し、すべての操作をキーボードによる文字入力で行っていたのです。
こうしてWindows95の普及によってパソコンが身近なものになったと同時に、OSというソフトウェアの影響力が増大し、本来の裏方の仕事に加え、他にも多くの役割を担うようになったことから、その存在が前面に出てくるようになりました。
そのため、OSとは何か?という問いに対し、実は一言で回答できる代物ではないと答えなければなりません。「当り前の動作環境を提供する」という役割の他にも重要な仕事がいくつもあります。
おおまかには、以下の役割を担っています。
周辺機器を制御する
キーボードやマウス、ディスプレイ(モニタ画面)などは「周辺機器」と呼ばれ、これらが正しく動作することが、パソコンを扱う上で必要最低限の環境となります。(周辺機器については、デバイスとは で学習します)
もしOSがなかったら、これらを制御することができず、何もできなくなります。
アプリケーションソフトを管理する
一台のパソコンで様々なアプリケーションソフトを利用するための環境を整えています。いわば、ソフトウェアのためのソフトウェアといった役割です。各アプリケーションソフトはOSの管理下で動作することができます。
また、異なるメーカーのパソコンであっても、OSが同じであれば同じアプリケーションソフトを同じ操作方法で利用することができます。(そのパソコンメーカー独自のキー割り当てなどは別)
API(エーピーアイ)
Application Program Interface(アプリケーション プログラム インターフェース)の略で、そのOS用のアプリケーションソフトの開発におけるプログラミング上の規約や手順、使用できる機能を提供します。
具体的には、様々なアプリケーションソフトが共通して使える機能を提供します。例えば「ウィンドウ」や「フォント(文字の書体)」などの共通した機能を提供することで、各アプリケーションソフトの製作者は、一から百まで全部作り込む作業から開放されます。
つまり、異なるアプリケーションソフトがOSの機能の一部をシェアする(共同利用する)ということでもあるので、種類が異なるアプリケーションであってもある程度同じような操作環境を実現することができ、初めて使うユーザーにも扱いやすいものになります。
また、OSの機能の一部を提供したり、仕様やプログラミングのルール等を公開することで、そのOS上で動作するアプリケーションソフトの開発を手助けしています。(ゲーム機と同じで良いソフトが開発されないといくら良いハードであっても意味がないからです)
ファイルを管理する
様々なアプリケーションソフトを利用して作成したファイル(Wordで作成した文書ファイルや、Excelで作成したグラフ等)を管理しています。次章、ファイル管理 で詳しく学習します。
タスクを管理する
タスクとは「プログラムの実行単位」の意味で、様々なアプリケーションソフトが行っているその作業のことを指します。OSがそれらの実行や処理の順番などを管理します。
具体的には、Windowsに代表される現在のOSはGUIによって、複数のウィンドウを開いて複数の処理を行うマルチタスクが一般的です。(CUIの時代はシングルタスク)このマルチタスク環境で、効率的に処理が行われるようにOSが制御を行っています。
ネットワーク環境を提供する
LANなどのパソコンやネットワーク機器をつなぐネットワーク機能を提供します。
これらが、OSの主な仕事になります。GUIも含めどれもなくてはならない機能です。
またこの他にも、Windows95から搭載されたプラグ・アンド・プレイ(Plug and Play)と呼ばれる、周辺機器をパソコンに装着するだけで、OSが自動設定を行いすぐに利用できる機能なども提供しています。
つまりOSとは、
パソコンと人間の橋渡し役
と言うことができます。
OSがなかったら、たとえ私たちがどんなに優れたなプログラムを作成しても、実行することすらできないのです。
しかし逆にOSが優秀であれば、初心者にも使いやすく、多くのパソコンメーカーに採用されることになり、そのOSを前提にあらゆる製品が開発されることになります。ビル・ゲイツ氏が億万長者になったわけです。
ただ、OSがあってはじめてパソコンを使いこなす環境が整ったにすぎません。やはり、アプリケーションソフトがなければ、パソコンはただの箱なのです。
更新履歴
- 2008年7月9日
- ページを公開。
- 2009年3月12日
- ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
- 2018年1月24日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2022年1月9日
- 内容修正。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- OSがなかったら?
- http://www.algolab.co.jp/~lum/pcnyumon/nyu061.htm
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