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インターネットのWWW以外の要素
WWWシステムはインターネットの普及に大きく貢献しました。インターネットと同一視されてしまうほどに身近なものとなり、それから凄まじい速さでインターネット関連の技術は進化してきました。
もう十分おわかりのとおり、インターネットを構成する要素はWWWだけではありません。インターネットはネットワークであり、あらゆるサービスの基盤に他なりません。
これからもどんどん新しいサービスが生まれてくることでしょう。本項では、こうしたインターネットにおけるWWW以外の要素について学習していきたいと思います。
インターネットの歴史を遡ってみると、1960年代末の米国で、核の脅威からリスクを分散するために構築されたネットワークに始まります。前項で学習したハイパーテキストの技術が生まれる前の話です。
WWWの始まりが1990年頃ですから、インターネットの始まりはそれよりもずっと前のことでした。すなわち、ハイパーテキストを閲覧できるWWWは存在せず、それ以外の要素によって成り立っていたのです。
核の脅威からリスクを分散するために構築されたネットワークというのは、多数の計算機をネットワーク化して分散処理を行い、互いに情報を交換できるようにしておけば、1ヶ所が破壊されても補完することができるという考えから生まれたものです。
つまり、
遠隔地にあるコンピュータの遠隔操作・ファイル転送・情報伝達
がインターネットのそもそもの目的だったわけです。
そして、1969年に米国の各大学をネットワークしたARPANET(アーパネット)と呼ばれるネットワークが構築され、現在のインターネットの原型になったと言われています。
その後、ネットワーク環境でのコンピュータの使用が浸透していき、インターネットは世界中に拡大するとともに、様々な技術やサービスも開発されてきました。そして、1990年代になってようやくWWWが登場したのです。
このように、インターネットにはWWW以外にも、遠隔操作・ファイル転送・情報伝達といった要素があります。
遠隔操作は、Telnet(テルネット)
ファイル転送は、FTP(エフティーピー)
情報伝達は、電子メール・ネットニュース
という技術が開発され、これらはインターネットの重要な要素となりました。
電子メールについてはもはや説明不要かもしれません。スマートフォンや携帯電話のメールをしたことがないという人はほとんどいないでしょうし、ビジネスシーンでも電子メールは必須のツールとなっています。
広く普及した最大の要因は、
文字だけでなく文書ファイルや画像、プログラムなどを添付して送信できる
ことです。そのため、電話や郵便に代わる新しい情報伝達手段となりました。
電子メールの利用には、専用のアプリケーションソフトを使います。「Outlook」や「Gmail」などが有名ですが、こうしたメールソフトはメーラーと呼ばれます。(詳しくは、電子メールの仕組み で解説します)
基本的に電子メールは、1対1の情報交換に用いられます。複数に送信することは可能ですが、多対多で情報をやり取りする場合には適しませんでした。
そこで、多数のコミュニケーションを実現したのが、
ネットニュース(または電子ニュース)
というサービスです。
ニュースといっても新聞社や通信社が提供するニュース記事ではなく、コミュニケーションツールになります。ネットニュースは、不特定多数の利用者間の議論の場として使われる「電子掲示板」に近いものです。
議題や疑問などを投稿して、議論したり疑問を解決したり、多対多のコミュニケーションができるシステムになります。
ただし、ネットニュースは掲示板と異なり、メッセージが1ヶ所で集中管理されず、ネットワークに接続されたパソコン(ニュースサーバという)同士でニュース記事を配信し合うことで、ネットワーク上を情報が伝達していきます。
具体的には、ニュースサーバは受け取った記事(投稿)をコピーし、それを隣のサーバに転送します。その隣のサーバがさらに隣のサーバに送るという記事のリレーが繰り返し行われ、波紋のようにネットワーク上を伝わります。
その途中で記事を読んだ人が、自分の意見や質問の答えなどを載せ、さらにその答えを読んだ人が別の見方からの意見を載せ、という連鎖を繰り返すことによって情報の交換をする仕組みです。
記事を読むときは、任意のニュースサーバに接続して、 そのサーバが持っている記事の中から好きなものを選択して読むことになります。その記事のカテゴリ(分類)のことを、ニュースグループと言います。
また記事を読むには、ニュースリーダーと呼ばれる専用のアプリケーションソフトが必要ですが、「Widows Liveメール」や「Outlook Express」といった過去のWindowsのメーラーにはその機能が組み込まれていました。
ただ現在では、ネットニュースは様々なサービスに押されて衰退の一途をたどっています。
次に、「ファイル転送」もインターネットの主要な要素です。
もともとファイル転送、つまり単純なデータのやり取りや共有がインターネットの主な要素でした。電子メールの添付ファイルでは大きな容量のデータは送信できません。また連続して多くのファイルを転送する場合にも不向きです。
ファイル転送の主なサービスとして、オンラインソフトや動画、音楽などの大容量のファイルをダウンロードしたり、作成したウェブサイト(複数のフェブページ)を、インターネット上のWWWサーバにアップロードしたりする場合に利用されます。
ダウンロードとは、インターネットから自分のパソコンにファイルを取り込むことで、逆に自分のパソコンからインターネットへファイルを転送することをアップロードと言います。
ファイル転送はFTPというプロトコル
が主に使われます。
プロトコルとはこれまでの学習のとおり、規格やルールのような意味です。FTP(エフティーピー)については別項で学習します。
最後に、「遠隔操作」もインターネットの重要な要素になります。
遠隔操作とは、遠く離れた場所に設置されたパソコンであっても、ネットワークを介して間接的に操作することを言います。
遠隔操作はTelnetというプロトコル
が主に使われます。
Telnet(テルネット)によって、たとえ遠隔地であってもネットワークを介して、すべての操作を、あたかも目の前にそのパソコンやコンピュータが存在するかのようなイメージで操作することが可能になります。
ただし、Telnetを利用するにはある程度専門的な知識が必要になりますので、ここまでの解説に留めたいと思います。
このように、インターネットにはWWW以外にも、情報伝達の電子メールやネットニュース、ファイル転送のFTP、遠隔操作のTelnetといった要素があり、これらはWWWと同じようにインターネットという基盤で実現できる要素になります。
更新履歴
- 2008年7月27日
- ページを公開。
- 2009年4月27日
- ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
- 2018年1月26日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2022年6月17日
- 内容修正。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- 文献
- 図解入門 インターネットのしくみ
- ネットニュースについて
- http://www.is.titech.ac.jp/~ohshima/net/netnews.html
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