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インターネットのWWW以外の要素

  • 著者:YAMANJO
  • 公開日:2008年7月27日
  • 最終更新日:2025年3月13日

インターネットには、WWW以外にどのような要素があるのか何か学習していきましょう。

インターネットの始まり

WWWシステムはインターネットの普及に大きく貢献しました。前項で学習のとおり、インターネットと同一視されてしまうほど身近なものとなり、それ以降も、凄まじい速さでインターネット関連の技術は進化していきます。

インターネットを構成する要素はWWWだけではありません。インターネットはネットワークであり、社会インフラとして様々なサービスの基盤になっています。これからもどんどん新しいサービスが生まれてくることは間違いありません。

本項では、こうしたインターネットにおけるWWW以外の要素について学習していきたいと思います。

インターネットの歴史を遡ってみると、1960年代末の米国で、軍事および学術研究のために構築されたネットワークに行きつきます。前項で学習したハイパーテキストの技術が生まれる前の話です。

このネットワークを、

ARPANET(アーパネット)

と言います。

ARPANETは、1969年に米国の各大学をネットワークしたもので、現在のインターネットの原型と言われています。

WWWの始まりが1990年頃なので、インターネットの始まりはそれよりもずっと前のことです。すなわち、WWWは存在せず、インターネットの目的は、それ以外に求められていたことになります。

当時は、中央集権型のシステムネットワークが主流でした。この場合、すべての処理が中央のホストコンピュータで行われ、その他の端末は単なる出入力装置でした。そのため、中央コンピュータが破壊されるとシステムが完全にダウンしてしまうという欠点があったのです。

そこで、複数の拠点から処理や通信を行うことができる分散型のネットワークとして、ARPANETが構築されていきました。詳しい仕組みについては次項から学習していきますが、ARPANETは軍事的な側面が強く、どこかの拠点が破壊されても、別の経路を通じて通信を継続できる仕組みの構築が大きな目的でした。

したがって、インターネットの当初の目的は、中央集権的なネットワークの脆弱性を克服して「ネットワークの継続性を確保すること」だったのです。

当時のネットワーク形態は、中央にあるメインフレームと呼ばれるコンピュータが唯一処理能力を持ち、先述のとおり、他の端末は単なる出入力装置でした。そこで、各端末にもある程度の処理能力を持たせて、処理を分散させる分散型のネットワークが構築されるようになります。これがARPANETです。

ARPANETの構想をもとに、メインフレームよりも処理能力の劣るサーバコンピュータを処理の役割ごとに分散して配置することで、ネットワークの継続性を確保するようになっていきます。(メインフレームやサーバコンピュータについては、コンピュータの種類 で詳しく学習します)

したがって、そのための要素として、

主にファイル転送と遠隔操作(リモートアクセス)

が重要な要素になっていきます。

迅速な情報伝達と情報共有のために、ファイル転送は非常に重要な要素になります。複数の経路を持つネットワークで確実にファイルを届けることが重要でした。

遠隔操作については、文字どおり遠隔地のコンピュータをリモートで操作することです。その目的は、計算機資源を有効活用することで、簡単に言えば、ネットワーク内にある他の強力なコンピュータの力を借りる場合です。つまり、手元のコンピュータが非力な場合には、遠隔地の大型コンピュータに計算させるということです。

その後、ネットワーク環境でのコンピュータの使用が浸透していき、インターネットが世界中に拡大するとともに、様々な技術やサービスも開発され、1970年代に電子メール、1990年代になってようやくWWWが普及し始めます。

このように、インターネットにはWWW以外にもファイル転送、遠隔操作(リモートアクセス)、電子メールといった要素があります。

ファイル転送

ファイル転送はネットワークの利点である迅速な情報伝達を可能にします。インターネットは世界中に広がっており、例えば地球の裏側にでも瞬時にファイルを送り届けることができます。

ファイル転送と言うと、電子メールを思い浮かべるかもしれませんが、電子メールの添付ファイルでは大きな容量のデータは送れません。また連続して多くのファイルを転送する場合にも不向きです。

ARPANETの時代と現代では技術が異なりますが、その時代の技術をもとに、より効率的で安全なファイル転送方法が整備されています。したがって、ファイル転送にはそれを効率的に行うための専用の仕組みがあるということです。

その仕組みを、

FTP

と言います。

FTPは「File Transfer Protocol」の略で、「エフティーピー」と呼ばれています。

FTPを簡単に言えば、ネットワークを通じてファイルを送受信するための規則や仕組みのことです。そのままですが、FTPというルールに沿って通信を行うことで、コンピュータ間でのファイル転送がスムーズに行うことができます。

FTPのように、通信に関するルールや規則を定めたものを、

通信プロトコル

と言います。

通信プロトコルはFTP以外にも、通信の用途や段階に応じて様々な種類があります。例えば、メール送信のプロトコルや前項で学習したウェブサーバとブラウザが通信する際のプロトコルなど、細かく策定されています。ファイル転送に限らず、インターネット上の様々な通信は、用途に応じたプロトコルによって行われているのです。

具体的なFTPの仕組みについては、FTPとは で詳しく学習しますが、FTPは通常、サーバコンピュータとクライアント間で行われます。サーバコンピュータとは、先述のとおり、役割に応じて処理を担当する高性能なコンピュータで、クライアントとは一般的なパソコンなどのノードのことです。(ノードについては、LAN・WANとは を参照してください)

したがって、サーバを介してファイル転送が行われることになります。ファイル転送を行うには、送信側(クライアント)と受信側(サーバ)の双方にFTPソフトウェアが必要になります。ユーザーはFTPクライアントソフトを使い、サーバに接続してファイルのアップロードやダウンロードを行います。

ARPANETの目的は、中央集権的なコンピュータシステムから分散型のネットワークへの移行でしたが、すべての通信を完全にノード同士で行うという意味ではありません。こうした通信を「P2P(ピア・ツー・ピア)」と言いますが、P2Pの実現には各ノードの高い処理能力が必要で、現在でも完全なP2Pネットワークの実用化は限定的になっています。

そのため、ARPANETは1台の中央コンピュータに依存せず、複数のサーバを分散して配置し、それぞれが特定の役割を持って運営するネットワークでした。例えば、あるサーバは電子メールを担当し、別のサーバはファイル転送を担当するといった各サーバが特定の役割を持つということです。

このように、ネットワークでの様々な通信は基本的にサーバを介して行われています。

ただし、FTPは古いプロトコルで、FTPに変わる転送方法がいくつかあるため、セキュリティ上の問題から、FTPを使って転送するケースは少なくなっています。ウェブサイトを作成する場合に、作成したHTMLファイルをFTPソフトでウェブサーバにアップロードする用途で使われることが多いです。

現在では、FTPSSFTPといったFTPの後継プロトコルや、WWWシステムのプロトコルHTTP、クラウドストレージなどを利用してファイル転送を行うことができます。これらの仕組みについては、順を追って学習していきます。

遠隔操作(リモートアクセス)

遠隔操作は、インターネットの初期に、ファイル転送とともに利用されていた大きな要素のひとつです。

遠隔操作の当初の目的は、強力な計算能力を持つサーバコンピュータなどの資源を離れた場所から活用することでしたが、近代になると、インターネットを経由して会社のサーバコンピュータにアクセスして、遠隔地で設定作業やメンテナンスを行うといった利用がされるようになりました。

遠隔操作もファイル転送と同様に、通信プロトコルによって実現します。

遠隔操作に使われるプロトコルを、

Telnet

と言います。

Telnetは「テルネット」と読み、Telnetもクライアントからサーバコンピュータに対して通信を行います。

Telnetは、クライアントからサーバにログインし、コマンドを打ち込んで操作します。コマンドとは、OSの役割 で学習した文字入力だけで行う操作です。つまり、GUIではなくCUIで操作するプロトコルになります。

そのため、初心者では扱いが難しく、またFTP同様に古いプロトコルのため、セキュリティ上の問題から、現在ではほとんど使われなくなっています。

現在では、SSHというTelnetの後継プロトコルが使われています。(SSHについては、FTPとは で詳しく学習します)

電子メール・電子ニュース

電子メールについては、もはや説明不要かもしれません。

スマートフォンや携帯電話のメールを利用したことがないという人はいないと思いますし、特にビジネスシーンでは、現在も電子メールが必須のツールとなっています。

電子メールが普及した最大の要因は、文字だけでなくその他のファイルを添付して送信できることです。そのため、電話や郵便に代わる新しい情報伝達手段となりました。

電子メールの利用には、専用のアプリケーションソフトを使います。「Outlook」や「Gmail」などが有名ですが、こうしたメールソフトは「メーラー」と呼ばれます。

電子メールにも通信プロトコルが使われており、メールの送信時には「SMTP」、受信時には「POP」や「IMAP」というプロトコルによって通信が行われています。

詳しくは、電子メールの仕組み で学習しますが、送信用のSMTPサーバと受信用のPOPサーバを介してクライアントと通信を行います。したがって、電子メールもサーバを介して通信する仕組みになります。

基本的には、1対1の情報交換に用いられることが多く、複数に送信することも可能ですが、多対多で情報をやり取りする場合や、FTPのように大量のデータ送信には適しません。

そこで、多対多のコミュニケーションを実現したのが、

電子ニュース(ネットニュース)

というサービスです。

ニュースといっても新聞社が提供するニュース記事ではなく、コミュニケーションツールになります。

聞いたことがない人も多いと思いますが、電子ニュースは現在ほとんど利用されていません。SNSなどの新しいサービスの登場によって利用価値が低下したからですが、当時は情報の共有がネットワークの大きな目的のひとつでした。

電子ニュースは、不特定多数の利用者間の議論の場として使われる「電子掲示板」に近いものです。議題や疑問などを投稿して、議論したり疑問を解決したり、多対多のコミュニケーションができるシステムになります。

ただし、掲示板と異なり、メッセージが1ヶ所で集中管理されるものではなく、インターネットに接続されたサーバコンピュータ(ニュースサーバという)同士でニュース記事を配信し合うことで、ネットワーク上を情報が伝達していきます。

具体的には、ニュースサーバは受け取った記事(投稿)をコピーし、それを隣のサーバに転送します。そのサーバがさらに隣のサーバに送るという記事のリレーが行われ、波紋のようにネットワーク上を伝わります。

記事を読むときは、任意のニュースサーバに接続して、 そのサーバが持っている記事の中から好きなものを選択して読むことになります。その記事のカテゴリ(分類)のことを、ニュースグループと言います。

ほとんどのニュースグループがUsenet(ユーズネット)という世界規模の電子掲示版システムの一部になっています。そのため、電子ニュース=Usenetとも言えます。

Usenetは「NNTP」というプロトコルで、ニュースサーバ同士が記事をやり取りします。リレーの途中で記事を読んだ人が、自分の意見や質問の答えなどを載せ、さらにその答えを読んだ人が意見を載せるという連鎖を繰り返すことによって情報の交換をする仕組みです。

また記事を読むには、ニュースリーダーと呼ばれる専用のアプリケーションソフトが必要ですが、「Windows Liveメール」や「Outlook Express」といった過去のメーラーにはその機能が組み込まれていました。

現在では、電子ニュースは衰退の一途をたどっていますが、SNSが電子ニュースの発展形とする見方もあります。ただし、Usenetは分散型であり、SNSのような中央集権的な管理とは異なる特徴を持っています。

現代のサービス

これらの要素は、主にインターネットの初期に重要視された要素で、その多くは衰退していきました。現在では、インターネットがさらに発展し、多様なサービスが展開されています。

リアルタイム通信

インターネットを使って音声通話を行う「VoIP」という技術で、SkypeやZoomなどに利用されています。VoIPは技術の総称で、プロトコルではありません。詳しくは割愛しますが、VoIPを実現するために複数のプロトコルが使われています。

ストリーミング

音楽や動画配信サービスで、YouTube、Netflix、Apple Musicなどが有名です。ストリーミングとは、音声や動画などのメディアコンテンツをダウンロードが完了する前にリアルタイムで再生する技術で、データを転送しながら再生することができます。

VPN

インターネット上に仮想的な専用回線を作る技術で、暗号化技術によってインターネットを介したLANを構築することができます。誰でも利用可能なインターネットに、利用者を限定する専用回線を仮想的に作り出す技術です。

ブロックチェーン

ビットコインなどの仮想通貨で利用される分散型のネットワーク技術で、中央集権的なサーバコンピュータを排除し、ネットワーク内のノード同士で直接通信(P2P)を行います。

例えば、ノード同士で仮想通貨による取引が行われると、その履歴がブロックチェーンという台帳に記録され、それをノード全員が保管することで改ざんを防止し、信頼性を高める仕組みです。

この他にも、クラウドサービスやSNS、仮想空間のメタバースなど様々なサービスがあります。本項で学習した要素は、インターネットの基本要素であり、こうした技術の組み合せや発展形として提供されているサービスもあります。

これらの現代のサービスについては、本章で順を追って学習していきますが、何をインターネットの要素に含めるのかという視点では、なかなか整理が難しくなっています。

重要なことは、インターネットは様々な技術やサービスの基盤となるネットワークであり、今後もインターネットを基盤とする新しい技術やサービスが誕生していくということです。

更新履歴

2008年7月27日
ページを公開。
2009年4月27日
ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
2018年1月26日
ページをSSL化によりHTTPSに対応。
2025年3月13日
内容修正。

著者プロフィール

YAMANJO(やまんじょ)

経歴
岡山県出身、1980年生まれ(申年)の♂です。現在、総合病院で電子カルテなどの情報システム担当SEとして勤務。医療情報学が専門ですが、ネットワーク保守からプリンタの紙詰まり、救急車の運転手までこなしています。
医療情報技師、日本DMAT隊員。ITパスポート、シスアドなど、資格もろもろ。
趣味は近所の大衆居酒屋で飲むこと、作曲(ボカロP)、ダイビング。
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