WWW(World Wide Web)とは
- 著者:YAMANJO
- 公開日:2008年7月25日
- 最終更新日:2025年3月10日
インターネットの要素のひとつである、WWW(World Wide Web)とは何か学習していきましょう。
ハイパーテキストとハイパーリンク
インターネットといえば、何をイメージされるでしょうか?
現在では、動画配信やオンラインゲームが一般的になりましたが、ひと昔前まで、インターネットと言えば「ホームページ」でした。今でこそ様々なサービスが利用できていますが、当時は多くのユーザーが、インターネットはホームページを見るものという認識でした。
その原因は、爆発的にヒットした「Windows95」によってインターネットが一般化したからだと言われています。OSとともにウェブブラウザ(ホームページを見るためのソフトウェア)が提供されたため、誰もがインターネットを気軽に利用できるようになりました。(詳しくは、どこまでがOSの範疇か を参照してください)
その盛り上がりの影響なのか、ブラウザの名称が「インターネットエクスプローラ(Internet Explorer)」だったためか、インターネット=ホームページというイメージが定着しました。
当時のホームページはと言うと、文字情報ばかりで、作成者が一方的に情報発信するものでしたが、技術の進化にともなって、ホームページの閲覧者からもコメント機能などで双方向のやり取りができるようになりました。こうして、SNSが発展していくことになります。
ホームページ上から提供できるサービスもどんどん増えていきます。例えば、GoogleやYahooなどのポータルサイト(インターネットの入り口「ポータル」として機能するサイト)では、情報検索はもちろん、ニュース、ショッピング、動画、メールなどのあらゆるコンテンツが揃っています。
そのため、ホームページとは何かという定義さえ難しくなってきていますが、ホームページもインターネットの要素(インターネットでできること)のひとつに過ぎないということです。
その他の要素については次項で学習しますが、本項ではまず、インターネットの代表格であるホームページの仕組みについて学習していきたいと思います。
さて、そもそも「ホームページ」という名称に違和感がなかったでしょうか?現在では「ホームページ」という名称はほとんど使われません。当時は誰もがそう呼んでいましたが、正確には「ウェブサイト」が正しい名称です。
一般的に、ホームページを起点としてウェブページがリンクされていき、リンクされたウェブページの全体をウェブサイトと言います。つまり、「ウェブサイト」はそのサイトのウェブページすべてを意味し、「ホームページ」はウェブサイトのトップページのみを意味します。(詳しくは、ホームページとウェブサイトの違い で学習します)
日本では、ホームページがウェブサイトの意味で定着してしまいましたが、例えば、Yahoo JAPANというサイトは、ホームページからリンクされたいくつものウェブページが集まってウェブサイトを構成しています。
では、ウェブサイトを構成するウェブページは、どのように作られているのでしょうか?
現在のウェブコンテンツを思い浮かべると、プログラミングを駆使した技術の結晶のように思われるかもしれませんが、
ウェブページはテキストファイル
になります。
テキストファイルとは、ファイルとは で学習のとおり、文字情報だけのプレーンなテキストです。ただし、拡張子は「.txt」ではなく「.html」または「.htm」になります。(拡張子については、主な拡張子とファイル形式 を参照してください)
また、一般的な日本語や英語などの言語だけが使用されているわけではありません。詳しくは後述しますが、記号を用いて文字列に「タイトル」「見出し」「画像」「動画」といった意味や機能を付与していくことができるテキストファイルです。
このようなテキストファイルを、
ハイパーテキスト
と言います。
ハイパー(超)が意味するとおり、通常のテキストを超えたテキストファイルです。何が「超」なのかというと、
他のファイルやウェブページと結び付けることができる
という特徴があるからです。
例えば「<a href="パス" >リンクされる文字列</a>」のように、他のファイルのパスを記述することで、そのファイルへのリンクを埋め込むことができます。(パスについては、絶対パスと相対パス を参照してください)
この機能を、
ハイパーリンク
と言います。
つまり、ハイパーテキストはハイパーリンクを記述することによって、他のウェブサイトへのリンクを設定したり、画像や動画などをページに埋め込むことができるテキストファイルになります。
埋め込むと言っても、テキストの中に画像データそのものが含まれるわけではありません。代わりに「〇〇に保存されている△△という画像を表示する」という情報を記述し、それをブラウザが読み取って画像を表示します。つまり、画像へのリンク情報が記載されることになります。
ハイパーリンクを活用することによって、画像や音楽、動画などを組み込んだマルチメディアを扱うことが可能になります。また、現在の多彩なウェブコンテンツのように高度なプログラムや関連するファイルを組み合せることもできるようになっています。
ハイパーリンクで他のウェブページや他のファイルを結びつけることで、インターネット上に無数のリンクが形成され、つながりが無限大に広がっていきます。
WWWとは
ハイパーテキストという技術は、1989年にヨーロッパの原子核研究所で開発された論文閲覧システムが始まりとされています。
大量にある論文の山の中から文献を探し出して読むという作業は、恐ろしく時間がかかっていたようです。当時のシステムでは、すべての文献をひとつのコンピュータに集めて置いておかなければならず、多くの人が文献を参照しようとすると、それぞれに文献データをコピーして渡すといった処理が必要でした。
そのため、コンピュータや回線に負荷がかかり、パフォーマンスが著しく低下したり、ひどいときにはパンク(停止)してしまうという問題が起こっていました。
そこで、ハイパーテキストとハイパーリンクを活用することによって、ネットワーク上の異なる場所(異なるコンピュータ)にデータが保存されていても簡単にリンクして参照することができるようになり、負荷の分散につながったというわけです。
さらに、ハイパーテキストは「タグ」というマークを利用して記述することによって、構造化される(見出しや段落などを設定して整理される)ため、検索にも威力を発揮しました。(構造化については、SGML・XML・XHTMLとは で詳しく学習します)
こうして、ハイパーテキスト技術を実装した論文閲覧システムが、現在のウェブサイトの始まりです。
このシステムを当時の開発者は、
WWW(World Wide Web)
と名付けました。
WWWは「World Wide Web(ワールド ワイド ウェブ)」の略で「ダブリュ ダブリュ ダブリュ」と読みます。それがインターネットの普及とともに、世界中に普及しました。WWWシステムはインターネットに最適なシステムだったのです。
ハイパーテキストに埋め込まれたハイパーリンクによって、世界中のあらゆるファイルがリンクの鎖でつながり、まさに「クモの巣」のように世界を覆っています。当時の開発者は「World Wide Web」と名付けたことから、インターネットでのWWWの発展と普及を見据えていたのです。
したがって、先述の「インターネット=ホームページ」ではなく、「WWW=ホームページ」ということになります。
厳密には、WWWはウェブサイトを構成するための技術やシステム全体を指すため、完全にイコールとは言えませんが、インターネットという巨大なネットワークを利用してWWWが爆発的に普及していったのです。つまり、WWWはインターネットの大きな要素のひとつであり、インターネット=WWWではありません。
では、WWWを構成するハイパーテキスト(ウェブページ)の具体的な仕組みを理解していきましょう。
ハイパーテキストは、先述のとおりテキストファイルになりますが、
HTML(エイチティーエムエル)
という言語で記述する必要があります。
HTMLは「HyperText Markup Language」の略で、ハイパーテキストをマークアップ(記述)する言語になります。
マークアップ言語とは、文書の構造やレイアウトを定義する言語です。プログラムとは で学習した「プログラミング言語」とは異なり、コンピュータに計算や動作などの指示を出すことはできません。
例えば、文字列に「見出し・段落・リンク」といった文書構造を定義するだけです。この定義を「タグ」によって行います。そのため、プログラミング言語より単純な言語になります。
実際には、ハイパーテキストを記述できる言語はHTMLだけではありませんが、習得が容易なことから、ウェブページを作成するための言語としては、もっとも普及しています。(詳しくは、HTMLとは で学習します)
当サイトのこのページもハイパーテキスト(HTML文書)になります。一見すると、フォントの大小や色の変化はあるものの、一般的な文字だけでタグのような記述は見当たりません。
これをウェブページ作成の専用アプリケーションソフトで開くと、下図のようになります。

隠れていた「<>」や「""」といった記号が表示されています。これらの記号で記述するのが「タグ」です。詳しい記述方法は割愛しますが「<h1>」が「見出し」を意味し、「<p>」が「段落」、「<a>」が「リンク」を意味するタグになります。
なぜ、これらのタグが消えて日本語部分だけが表示されているのかと言うと、ウェブページの「表示」専用のアプリケーションソフトを使用して閲覧しているからです。
皆さんもウェブページを閲覧するときには、必ずこの専用アプリケーションソフトを起動させているはずです。
このアプリケーションソフトのことを、
ブラウザ(ウェブブラウザ)
と言います。
つまり、ブラウザを通してハイパーテキスト(HTMLファイル)を表示することで、タグが省略され、画像が表示されたり、ハイパーリンクが有効になるということです。
代表的なブラウザには、「Windows Edge(マイクロソフト エッジ)」、「Google Chrome(グーグル クローム)」、「Firefox(ファイアフォックス)」、「Safari(サファリ)」などがあります。
逆にブラウザを使用しなければ、タグも消えることなくHTMLのすべてが表示されます。
HTMLファイルもテキストファイルの一種なので、「メモ帳」などのテキストエディタ(テキストファイルを作成するためのアプリケーションソフト)で開くことができます。
下図は、HTMLで記述された「このページ」を、「メモ帳」で開いたイメージです。

テキストエディタで開けるということは、ウェブページ作成ソフトがなくても、テキストエディタで直接HTMLを記述すれば、ウェブページを作成することができるということでもあります。
実際に、メモ帳でウェブページを作成することが可能です。HTMLは、テキストエディタで記述できるシンプルで習得しやすい言語です。このこともWWWが発展してきた大きな要因となっています。
そして、HTMLで作成されたハイパーテキストは、インターネット上で公開されることでウェブページとなり、それら全体でウェブサイトと呼ばれるようになります。
どのように公開するのかと言うと、当然ながらファイルを自分のパソコンに保存しておいたままでは公開できません。インターネット上のしかるべき場所に保存することで、誰でも閲覧することができるようになります。
この場所のことを、
WWWサーバ(またはウェブサーバ)
と言います。
WWWサーバは、ウェブページを配信するためのソフトウェア(Webサーバソフト)が動作するコンピュータで、そこに作成したファイルをアップロード(転送)して保存します。
WWWサーバはインターネット上に無数に存在しますが、基本的には契約して保存領域を確保します。これは、前項で学習したISP(プロバイダ)との契約時に割り当てられるケースもあれば、別途、レンタルサーバとして契約するケースもあります。ある程度の知識があれば、WWWサーバを自分で設置(自宅サーバ)することも可能です。
WWWサーバが確保できたら、ハイパーテキストをアップロードすることで公開となります。
そして、そのWWWサーバの場所を指定する方法を、
URL(またはURI)
と言います。(URLとURIの違いについては、URI(URL)とは で詳しく学習します)
URLはインターネット上の「住所」のことです。URL(ユーアールエル)という言葉は何度も耳にしたことがあると思いますし、実際に打ち込んだ経験がある方がほとんどだと思います。
ブラウザにURLを入力することで、該当するWWWサーバにアクセスしてページが閲覧できます。
更新履歴
- 2008年7月25日
- ページを公開。
- 2009年4月26日
- ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
- 2018年1月26日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
- 2025年3月10日
- 内容修正。
著者プロフィール
YAMANJO(やまんじょ)
- 経歴
- 岡山県出身、1980年生まれ(申年)の♂です。現在、総合病院で電子カルテなどの情報システム担当SEとして勤務。医療情報学が専門ですが、ネットワーク保守からプリンタの紙詰まり、救急車の運転手までこなしています。
- 医療情報技師、日本DMAT隊員。ITパスポート、シスアドなど、資格もろもろ。
- 趣味は近所の大衆居酒屋で飲むこと、作曲(ボカロP)、ダイビング。
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