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Web2.0・Web3.0とは ~ インターネットの未来 ~
本項で「インターネットの仕組み」編は終わりです。これまで、インターネットに関する様々な技術や仕組みを学習してきましたが、最後にインターネットの未来と可能性について考えてみましょう。
インターネット上のサービスは目覚ましい勢いで進化し、一昔前までのインターネットからは想像もできないほど多様なサービスが誕生しています。
一般ユーザーにとって、一昔前までインターネットと言えば、ウェブサイトを閲覧する、電子メールのやり取りをするといった程度のものでしかありませんでした。
そのウェブサイトとは、新聞や広告と同じでユーザーが一方向的に「読む」だけのものでした。しかし、現在のウェブサイトはそれだけではありません。
ウェブサイトは、テキストや画像情報を表示するだけでなく、商品を「注文」したり、チケット等の「予約」をしたり、用語等を「調べる」といったことが当たり前にできるようになりました。
つまり、インターネット上のサービスは、ただ単純な「読み物」としての機能から、自分のスタイルや趣味、ビジネスに合わせて「使う」機能にシフトしているのです。
このように、ウェブが多機能になり様々なサービスが誕生しているのは、
ウェブシステムをプラットフォームとしてアプリケーションが開発されるようになった
からです。したがって、これまではOSやハードウェアに依存していたアプリケーションは、ウェブでの利用を前提に開発されるようになり、ブラウザさえあればどんな環境でもシームレスに利用できるようになりつつあります。
こうして、ブログなどのサービスが生まれ、HTMLの知識や専用のアプリケーションソフトがなくても情報発信できるようになりました。
また、ブログとCMS でも解説のとおり、ブログにはコミュニケーション機能があるため、コメントやトラックバックによって、口コミ効果のようなこれまでにはないブームの発生源にもなり、ウェブの存在感はますます高まっています。
このように、従来の「読む」だけの静的なウェブサービスを「Web1.0(ウェブ イチテンゼロ)」と言い、現在のようにウェブをプラットフォームとする新しいウェブの仕組みを、
Web2.0(ウェブ ニーテンゼロ)
と言います。ただ、Web2.0とはどういうものかという明確な定義は存在せず、Web1.0のように発信者による一方向の静的な情報発信ではなく、情報の受け手も自由にそのコンテンツを作り上げていける流動化したウェブサービスのことを指します。
つまり、Web 2.0は、従来のウェブで提供されてきたサービスとは異なる新しい発想の技術やサービス、ビジネスモデルやウェブのあり方などを指す「総称」になります。
Web 2.0においては、情報そのものや中核となる技術よりも利用者へのサービスが重視され、利用者が増えれば増えるほど提供される情報の量が増え、サービスの質が高まる傾向にあるとされます。したがって、ユーザー重視、ユーザー参加型のサービスというのがキーワードになります。
Web2.0の具体的なサービスとしては、ブラウザから簡単にウェブページの編集ができる「Wiki(ウィキ)」、ウェブサイトの更新状況を知らせる「RSS」、動画共有サイトの「Youtube」、一般のユーザーに質問して回答してもらう「はてな」「教えてgoo」「Yahoo!知恵袋」などがあります。
Wikiとは、サーバにインストールしてブラウザから編集可能なウェブコンテンツ管理システムのことで、Wikiを利用したオンラインの百科事典サイト「Wikipedia(ウィキペディア)」が有名です。
RSS(アール エス エス)とは「Rich Site Summary」の略で、閲覧者はウェブサイトを直接見に行かずとも、RSSリーダーや対応のブラウザに該当サイトを登録してさえしていれば、いつ更新されたかとその要約がすぐに通知されるというサービスです。
このように、Web2.0時代のサービスは多様で数多く存在していますが、中でもWeb2.0を象徴するサービスが、
SNS(ソーシャル ネットワーキング サービス)
です。SNS(エス エヌ エス)は「Social Networking Service」の略で、人と人とのつながりをサポートするコミュニティー型のウェブサイトです。
具体的には、自分の日記や写真などを画面に表示することができ、リンクによって他のユーザーの日記、写真などが閲覧できる仕組みとなっています。また、コミュニティー機能やメッセージ機能も有し、テーマ毎に意見交換がされたり、メッセージが交換されたりしています。
SNSによって、興味のある分野のコミュニティーがインターネット上に構成され、社会的なネットワークとして機能するようになりました。SNSサービスとして有名なものに、「mixi(ミクシィ)」や「Facebook(フェースブック)」などがあります。
また、「Second Life」のようなバーチャル世界でユーザーが様々な活動を行うことができるオンラインゲームやブログなども広い意味でSNSに含まれます。
さらに、
ツイッター(Twitter)
と呼ばれるコミュニケーションサービスが誕生し、世界的に普及しています。ツイッターは、「今なにしてる?(What are you doing?)」という質問に答え、短いテキストを投稿するだけのシンプルなサービスです。
投稿は「つぶやき」(Tweet)と呼ばれ、文字数は140字に限られますが、素早く投稿できるのが特徴です。他ユーザーのつぶやきを聞ける「フォロー」機能があり、他のつぶやきをリアルタイムに受け取って状況を知ったり、自分のつぶやきをほかのユーザーに発信して交流することができます。
このツイッターの即効性を利用して、時事情勢や出来事などを報道機関がモバイル端末でリアルタイムに発信したり、オバマ大統領などの有名人が利用していることもで知られ、RSSに変わる情報収集ツールとしても注目されています。
そして、Web2.0を超える次世代のサービスとして、
Web3.0(ウェブ サンテンゼロ)
が注目され始めています。Web2.0は、ウェブ自体がプラットフォームとなり、ユーザー参加型の双方向のコミュニケーションを実現するウェブ形態ということでしたが、Web3.0はそこからさらにレベルアップした世界になります。
具体的には、ウェブのデータを共有化(データベース化)し、その情報を個々のユーザーが、必要な時に呼び出して利用することを可能にするというものです。
さらに詳しく説明すると、現在のウェブページを構成するHTMLでは、記述された内容の「意味」をコンピュータは理解することができないため、その内容の「意味」を表す情報(メタデータという)を記述して、コンピュータが効率よく自動的に情報を収集、解釈できるようにするというものです。
そうして、ウェブ上のすべてのデータを無数のコンピュータが認識して共有することで、ウェブ全体が単なるデータの集合から、巨大なデータベースへと進化するというわけです。
このようなウェブの構想を、
セマンティックウェブ
と言います。セマンティックウェブでは、ウェブページは従来のHTMLではなく、XMLやXHTMLによって記述され、その中にメタデータを埋め込んでいきます。(詳しくは、SGML・XML・XHTMLとは を参照してください)
現在、WWWで利用される技術の標準化団体W3Cによって、セマンティックウェブの標準化作業が進められています。例えば、メタデータは「RDF(Resource Description Framework)」と呼ばれる仕様が策定され、RDFに従って記述されています。
この「セマンティックウェブ」のことを「Web3.0」と呼ぶといった定義はありませんが、Web3.0の方向性はセマンティックウェブ抜きには語れないでしょう。
また、Web3.0時代のサービスとして注目されているのが、
クラウドコンピューティング
と呼ばれるシステム形態です。クラウドとは「雲」の意味で、インターネットを「雲」に見立て、ユーザーが実行したい処理をインターネット(雲)にすべて任せるといったイメージになります。
つまり、処理を行うのはユーザーのパソコンでも会社のサーバでもなく、実態の見えない雲の中の(インターネット上の)無数のサーバがネットワーク化されて、1つの巨大なサーバのように機能して処理します。サーバコンピュータの機能をクラウドに丸投げするイメージで、データ保存も処理もすべてネット上の見えないどこかのサーバに任せてしまうわけです。
実際には、マイクロソフトのような大企業が、データセンターという巨大な施設を造り、そこに膨大な数のサーバコンピュータを設置して、そのサーバが提供するデータの保存領域やアプリケーションサービスを利用するという形態になります。世界中の企業や個人が利用する超巨大なデータセンターです。
メンテナンスやデータ管理もデータセンターが行うので、ユーザーはまったく意識する必要がありません。ユーザーとしてはサーバコンピュータを保有する必要がないので、コスト面のメリットが非常に高く、またインターネット環境さえあれば良いので、場所も端末の機種も気にする必要がありません。まさに、未来のサービスと言えます。
こうした、ネットワークでアプリケーションを使うというサービスは、これまでにも企業にアプリケーションのみを貸し出すASP(「Application Service Provider」の略で、企業はサーバを導入する必要がなくブラウザのみあれば良いというメリットがある)などがありましたが、利用できる端末は限定されていました。クラウドコンピューティングはその発展形と言えます。
クラウドコンピューティングも、明確な定義があるわけではありませんが、ユーザーはインターネット環境さえあれば、巨大なインターネットの雲の中で自由にサービスを見つけて利用することができるのです。
さて、このようにインターネットは、誕生してからわずか20年程度ですさまじい進化を遂げてきました。10年後かそれとも5年後か、近い将来Web3.0の世界は現実のものとなるでしょう。
そして次はどこへ向かうのでしょうか? 想像できるような想像できないような、そんなワクワクするような世界にインターネットは進化して行くのです。
更新履歴
- 2009年8月30日
- ページを公開。
- 2009年8月30日
- ページをXHTML1.0とCSS2.1で、Web標準化。レイアウト変更。
- 2014年5月22日
- 内容修正。
- 2018年2月1日
- ページをSSL化によりHTTPSに対応。
参考文献・ウェブサイト
当ページの作成にあたり、以下の文献およびウェブサイトを参考にさせていただきました。
- 今日から始める!Web 2.0超入門講座
- http://internet.watch.impress.co.jp/static/column/web20/2006/01/30/
- 急速に展開するWebサービス-Web2.0
- http://www.jacic.or.jp/feature/program/015web2/web_1.htm
- セカンドライフ日本語版の歩き方
- http://www.sec-life.com/
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